千駄堀の庚申塔(松戸市金ヶ作)
2020年9月25日号 第622号
松戸市民憩いの場である「21世紀の森と広場」は外周総延長3600m、その外周散策路南口・中央口間、金ケ作近くに「千駄堀の庚申塔」が建っています。江戸時代千駄堀村は東側に幕府の経営する小金牧の内、中野牧という野馬の放牧場に接していましたので新田開発で開墾された地に野馬の侵入を防ぐ為の柵は大変重要なものでありました。金ケ作という地名も「柵は村にとって金の如く重要なものである」との思いが込められていると言われています。
今年5月6月に大井競馬場から2頭の馬が相次いで脱走したという放馬事故が報道されましたが、資金難で柵の整備遅れが原因との実情を伝えています。金ケ作地名の由来が改めて納得できる出来事でした。庚申塔、青面金剛などの庚申信仰は中国道教の教え、庚申の夜、人の身体の中にいる悪虫が寝ている間に密かに抜け出して天上の神にその罪過を告げるという。そこで、告げられる事を恐れて庚申の夜は眠らずに悪虫が抜け出すのを防ぐと言う風習が各地に広まりました。庚申の夜は信仰を同じくする人々の組合(講)が組織され、夜遅くまで飲食を共にして楽しく過ごした。この庚申塔は文化7年(1810)葛飾郡千駄堀村の庚申仲間19人が建てた事が記されています。
塔の台座には「申」を「猿」にかけて神の使いとする事から可愛い三猿(見、聞、言)が掘られていますが、中央に小型の石地蔵が置かれている為、聞か猿は隠れています。庚申祭祀を何年も続け、その目的を遂げた証である庚申塔です。
(ゴジラ)
※所在地/松戸市金ケ作60・4近く
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