馬頭観世音碑(松戸市根本)
2022年5月13日号 第661号
真言宗豊山派根本山吉祥寺。弘法大師が一本の樹木から三体の薬師如来像を作られた。その三体の内、木の根本部分から造り出された像が吉祥寺薬師堂に納められた事から地名根本村もその古事に由来すると伝えられています。境内には数々の石碑が建てられていますが、その中の一つ大正14年8月建立馬頭観世音碑があります。馬頭観音は家畜の守護神とみなされ、又道中の安全を守るとも言われ地蔵、庚申塔などと共に古くから庶民に親しまれて来た身近な石仏/碑の一つです。そして農業及び街道駄送として仕事をして来た馬の供養や無病息災祈願に建立されるようになりました。馬頭観音碑/塔の造立主体を調べると個人造立が36%を占めており講中などの造立が主である庚申塔との違いがあります。
吉祥寺の碑は松戸運輸組合によって建立されています。馬頭観音の形式には、観音像全体が彫られている「刻像塔」馬の頭だけが彫られている「馬頭の塔」文字のみ「文字塔/碑」千葉県だけに集中して造立されている地方色の濃い、観音が馬に騎乗した「馬乗り馬頭観音」に区分されています。柳田國男による小説遠野物語で知られている岩手県遠野市では馬と人が一緒に働き助け合う暮らしが残っています。特に馬が寝起きする「馬屋」は家の中にあり、いつでも馬の様子を見られるようL字型につないだ為「曲家」と言う伝統的な建物を見学する事が出来ます。
余談ですが吉祥とは幸福、繁栄を意味する語。合気道開祖植芝盛平の息子の名は植芝吉祥丸。
(ゴジラ)
◎所在地/松戸市根本408
この記事へのコメントはありません。