誤嚥(ごえん)について
食べ物や飲み物、唾液などが誤って食道ではなく気道に入ってしまうことを「誤嚥(ごえん)」といいます。誤嚥したものに含まれる細菌が肺に入り、炎症を起こすのが誤嚥性肺炎です。特に高齢者では、体力や免疫力の低下が重なると重症化しやすく、死亡の原因になることもあります。
実は、健康な人でも睡眠中に少量の唾液などを誤嚥しています。ある研究では、健康な成人の45%に睡眠中の微量誤嚥が認められました。それでも、すぐに肺炎になるわけではありません。咳によって異物を排出する力や免疫力が保たれていることに加え、誤嚥したものの量や内容、そしてお口の中の細菌の量が関係しているからです。高齢者施設で行われた研究でも、口腔ケアを受けた人は、受けていない人に比べて肺炎の発症率が低かったことが報告されています。
もう一つ注意したいのが「低栄養」です。高齢になり体重とともに筋肉量が減少すると、食べ物を飲み込む筋肉や咳をする力も弱くなり、誤嚥性肺炎の危険性が高くなります。「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、65歳以上のたんぱく質推奨量は、男性1日60g、女性1日50gとされています。参考までにたんぱく質50gは、マグロの赤身で約200g、焼きアジで約190g、豚バラ肉で約350gに相当します。高齢者にとって、これだけの量を一度に食べるのは簡単ではありません。肉、魚、卵、乳製品、大豆製品などを組み合わせ、3回の食事に分けて少しずつ取る工夫が必要です。
誤嚥性肺炎の予防には、お口を清潔にするだけでなく、しっかり噛んで飲み込める状態を保ち、必要な栄養を取ることが大切です。日頃からお口の健康を維持し、おいしく食事を楽しめる環境を整えることが、全身の健康と生命を守ることにつながります。 (PR)

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