特集記事

中川探索

2024年12月20日 第724号

東京の下町をカーブを描きながら流れる中川。そこは様々な生物と、いろいろな景色で満ち溢れています。そんな中川周辺を探索してみましょう。

中川
地球釜

 常磐線金町駅から徒歩7分程。新しい建物が並ぶところ、東京理科大学葛飾キャンパスです。2013年に開設され、講義棟をはじめ、研究棟や図書館、体育館などがあり、一般の人も散策することができます(自転車、ペットの散歩は不可。建物内は立ち入り禁止)。隣接する葛飾にいじゅくみらい公園は、池もある広々とした公園。そこに、ひときわ目を引くものがあります。地球釜と呼ばれる茶褐色の巨大な球体。かつてこの地には、三菱製紙の中川工場がありました。その工場で、損紙を蒸して再生させる釜として活躍していたのです。地球釜は、中川沿いに製紙工場があったことを示す貴重な遺産なのです。

中川に棲む魚

日本全国に生息する淡水魚。本種にはメスしか存在しないので、雌性発生という生殖方法をとります。

葛西城跡

 環状七号線沿いに、緑に覆われた場所があります。なんとここは城跡。葛西城は中川沖積地に建つ平城で、いつ、誰が築城したのかはわかっていません。ただ、天文七年(1538)に、北条氏綱によって陥落されたという記録が残っています。その後、後北条氏の支配下となりますが、後に落城。跡地は徳川将軍家の鷹狩りの際の宿舎として利用されました。昭和四十年代後半の発掘調査から、大規模な堀跡、井戸跡等が発掘され、さらに陶磁器や木製品などが出土、沖積地に建つ平城の貴重な発見となりました。交通の大動脈、環七のすぐ脇にこのような場所があるなんて、驚きですね。

中川に棲む魚

岡山名物のママカリはこの魚。隣にマンマ(ごはん)を借りに行くほどおいしいのでママカリ。海の魚ですが、汽水域にも入ってプランクトンを食べます。

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 野球場、テニスコート、一年中泳げる温水プール、バドミントンやバレーボール、土俵の設備もあるエイトホールのあるエリアと、トレーニングルーム、大・小の体育室、二つの武道場や弓道場のある体育館、陸上競技やサッカーなどの屋外施設のあるエリアに分かれています。体育館ではエアライフル場もあるのですよ。スポーツセンターは中川に隣接していて、川のデッキはとても気持ちの良いスペースとなっています。ここから川沿いウォーキングも良いですね。

中川に棲む魚

内湾に棲みますが、河口などの汽水域にも入ります。十センチ前後のものはコハダと呼ばれ、江戸前寿司の寿司だねとして知られています。

東立石緑地公園

 圧巻は長さ三十メートルのローラー滑り台と、広い芝生の広場。その他にも、アスレチック遊具や幼児が遊べる遊具、健康器具があり、小さいお子さんからお年寄りまで、あらゆる人が楽しめる公園になっています。園路には、「広場コース」、「山コース」に距離表示があって、歩いたり走ったりする人には目安になります。防災公園にもなっていて、防災倉庫や仮設トイレのマンホールも備わっています。まさしく区民の憩いの場。川風が心地よく、空の広さを感じられる公園です。

中川に棲む魚

蒲焼、白焼き、肝焼き、肝吸い。うなぎは食用として知られていますね。河川の上流、河口、湖沼などに棲みますが、生態は謎が多い。

高砂橋
カーブする中川
川辺の遊歩道

 東立石緑地公園の、ちょうど川を挟んだ反対側にあります。中川沿いは、自転車を含む車両の通行が禁止されている長いテラスになっていて、ウォーキングやジョギング、犬の散歩や釣りなど、人々が思い思いに過ごしています。その一角のひときわ高く設置されたデッキからは、川の姿はもちろん、東京スカイツリーやかつしかハープ橋の美しい姿、町の様子を眺めることができます。ベンチも設置されていて、ここでちょっと一休み。風景をカメラに収めるのも良いですよ。

中川に棲む魚

滋賀県では鮒ずしの材料として利用されています。釣魚として人気が高いため、釣りを目的に移植が繰り返されたので、全国でみられるようになったとか。

モンチッチ公園

 中川周辺にはたくさんの公園がありますが、中でも異彩を放つのが、ここ通称モンチッチ公園。期待通り、モンチッチにあふれた公園です。入り口はモンチッチくん&モンチッチちゃんがお出迎え。モンチッチ像やモンチッチのベンチ、ミニミュージアムもあり、遊具やトイレにいたるまで、モンチッチ感を欠かさない。モンチッチ好きにはたまらない公園です。なぜここにモンチッチ?この地は人形の生産が盛んだったよう。昭和初期から中期にかけてセルロイド人形やソフトビニール人形が製造されていました。昭和四十九年(1974)、モンチッチが誕生します。空前の大ブームとなったモンチッチ。今でも根強い人気を博しています。

中川に棲む魚

もっとも馴染みのある淡水魚。飼育型と野生型に分かれています。交雑が進み、野生型の数は減少しているのだそう。

かつしかハープ橋

 昭和六十二年(1987)九月、首都高速環状線の綾瀬川にかかる橋が開通します。かつしかハープ橋。ゆるやかなS路カーブのところにある二連の橋は、塔の高さがそれぞれ六十五メートル、二十九メートル、長さ四百五十五メートル。構造形式を斜張橋というそうです。その姿は美しく、楽器のハープに似ている所から、「かつしかハープ橋」と名付けられました。夜はライトアップされ、一層幻想的な姿を見せてくれます。
中川はこの辺りから綾瀬川と合流し、荒川と並走して流れます。そして江戸川区清新町あたりで荒川と合流し、東京湾へ流れ込みます。 (ミイ)

※参考/東京理科大学HP、葛飾区HP、首都高速HP、日本の淡水魚258松沢陽士著、釣り魚カラーズ図鑑豊田直之・西山徹・本間敏弘著

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