五輪塔(松龍寺)(松戸市松戸)
2025年2月7号 第727号

平安時代の歴史物語として知られる「栄華物語」では、埋葬地の上に卒塔婆(そとば)を建立する風習が見られます。供養の一環として立てられる木製の板であり、仏教で説かれる五大(空・風・火・水・地)を象徴する形状を上部に備えています。卒塔婆の語源はサンスクリット語の「ストゥーパ(stupa)」に由来し、本来は仏塔や供養塔を意味します。
五輪塔も、卒塔婆と同様に五大の概念を表していますが、より立体的な構造となっています。五輪塔の最下部には四角形の「地輪」があり、その上に球形の「水輪」が重なります。さらにその上に「火輪」が位置し、その形状は台形にも見えますが、象徴的には三角形です。次に半月形の「風輪」が置かれ、最上部には宝珠形の「空輪」が据えられています。この五つの部分が宇宙および万物の生成要素を表現しており、人間もまたこの五大で構成されているとされます。死後、これらの要素に還るという思想から、五輪塔は供養塔や墓標として平安時代半ば頃から建立されるようになりました。
廣大山高樹院松龍寺では、同寺を開基した高木筑後守正次と、その養子の高木正勝の五輪塔が並び立っています。二人の五輪塔が守護しているようにも見える、後方の供養塔は、同寺を開山した東漸寺八世・光蓮社照譽頓公上人のものです。(かつ)
※参考図書/「地蔵信仰と民俗」「新編旧水戸街道繁盛記」「新京成電鉄沿線ガイド」
◎所在地/松戸1505ー1

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