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懐かしの列車たちが集う丘 ~ポッポの丘~

2025年9月5日 第741号

 丸ノ内線に京急線にブルトレ…。丘を登ると、そこにはたくさんの昭和の列車たちが待っていました。そんな昭和を彩った列車たちがあるのは千葉県いすみ市の「ポッポの丘」。今回は懐かしの列車たちに会いにポッポの丘へ行ってきました。

道路から見たポッポの丘。目印は3両の車両です。

 ポッポの丘には31両の列車と台車が展示されています。中にはいすみ鉄道や銚子電鉄、千葉都市モノレール、JR総武快速線や久留里線などの千葉県で活躍した列車もたくさんあります。いすみ鉄道の車両は、記者が子どもの時に乗車したときとほぼ同じ状態でとても懐かしくなりました。また、千葉都市モノレールで活躍した1000形は、現役時代はレールに隠れてしまっていて見ることができなかった台車も展示しています。記者は鉄道が大好きで、モノレールの車両基地にも行ったことがありましたが、直接モノレールの台車を見たことがなかったので、とても感動しました。

電車から気動車、荷物電車まで様々な列車が展示されています。
普段は見ることができない千葉都市モノレールの台車


 園内を歩いていると、京急と小田急の電車が並んで展示されているのを発見しました。京急電鉄と小田急電鉄はどちらも神奈川県を走る鉄道ですが、京急電鉄が横浜や浦賀、久里浜といった海側を走るのに対して、小田急電鉄は海老名、松田、小田原と主に山側を走ります。したがって、この二つの会社の電車が並ぶことはポッポの丘以外ではありません。ポッポの丘では鉄道会社、活躍した年代問わず多くの列車が展示されているので、このような珍しい車両の並びが実現します。

小田急電車(左)と京急電車(右)が並んで展示されている。
最近仲間入りしたSLです


 園内の傾斜がある場所には、大山ケーブルカーたんざわ号が展示されています。展示場所の坂道は急な坂道ですが、たんざわ号の床面は水平になっていません。車両紹介によると、たんざわ号の車体の傾斜は22度ですが、展示場所は11度の傾斜であるため水平になっていないとのことでした。改めてケーブルカーが走る線路がとても急であることを感じました。
 坂道を上っていくと、ディーゼル機関車と繋がっているブルートレイン2両と房総特急(さざなみ、わかしおなど)で活躍した特急電車2両、総武快速線や房総各線(内房線、外房線など)で活躍した近郊形電車2両が見えてきました。この房総特急で活躍した183系2両と房総各線で活躍した113系2両の計4両の並びは、国鉄時代の千葉駅や東京駅総武線ホームを彷彿とさせます。記者は平成生まれなので、これらの車両の全盛期は写真でしか見たことがありませんが、写真で見たような電車の並びが令和になった今でも生で見ることができて嬉しかったです。また、2両のブルートレインの中には入ることができ(原則土日に公開)、A寝台とB寝台の違いや車内の様子を肌で感じ取ることができました。車内では、実際に寝台特急として運行されていたときの車内放送が流れていて、実際に寝台特急に乗車したような体験をすることができます。

国鉄時代の千葉駅、東京駅を彷彿とさせる並び
ブルートレインの中に入ることができます(土日のみ)

 これまで園内に展示されているたくさんの列車を見学してきましたが、なんと、ポッポの丘ではまだまだ動く列車もあるのです!園内に展示している2両の入替動車は動態保存されていて、土日祝には車掌車を牽引し、50mほどの距離を往復で運転してくれます。入換動車とは、営業路線を走行せず、車両基地や駅構内などで貨車や廃車車両等の入替を行う機関車のことです。記者は運転室に入れてもらい、入換動車のエンジンをかける様子や車掌車と連結する様子を見学しました。社長の村石さんによると、動いているヨ5000形に乗車できるのはポッポの丘だけではないか、とのことでした。全国的にも貴重な動態保存されている入換動車、車掌車に乗りに行ってみませんか?

社長さんやスタッフさんが運転してくれる入換動車と車掌車

 園内に展示されている列車を見学していたら、記者はお腹が空いてきたので、ポッポの丘の中にある「カフェTKG」で昼食をいただくことにしました。「カフェTKG」で提供される料理の卵は協力農場から直送されたもので、ご飯は地元いすみ市のいすみ米を使っている房総のおいしさが詰まった料理です。「カフェTKG」で購入した料理は、保存されているいすみ鉄道と北陸鉄道の車両の中で食べることができます。
 メニューには、たまごかけごはん、チキンカレーライス、ビーフカレーライス、カルビ丼、牛丼があって、何を食べようかとても迷いました。熟考した結果、記者は卵付きの牛丼を、同行者はたまごかけごはんをいただくことにしました。牛丼もたまごかけごはんも、とても美味しくてあっという間に完食!ごちそうさまでした!

カフェTKGの牛丼(左)とたまごかけごはん(右)
お土産を買える千葉都市モノレール

 千葉都市モノレールの車両の中では、お土産を購入することができます。記者が訪問した際には、ポッポの丘オリジナルグッズをはじめ、「カフェTKG」で美味しくいただいた協力農場直送のうみたてたまご、様々な鉄道雑誌の古本、電車や車のおもちゃなどが販売されていました。記者の同行者はうみたてたまごの詰め放題に挑戦!この日は小さめの卵が多かったこともあってか、61個の卵を詰めることができました。お店の方によると、詰め放題では通常、50個程度の卵を詰めることができるようです。
 ポッポの丘では、ほかにも子ども向けの遊具や手漕ぎトロッコ、ガチャガチャがあり、みんなが楽しめる施設となっています。昭和の香りが漂う懐かしの列車たちに会いにポッポの丘を訪れてはいかかですか。(ベース)

子ども向けの手漕ぎトロッコや遊具もあります

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