2026年3月27日 第754号
近場の温泉宿で、ゆっくりしたい。そう考えた際、「千葉県内では近すぎる」「北関東は降雪で、徒歩の散策が難しいのでは?」とパス。結局、行き先として選んだのが、意外にも人生で一度も訪れたことがなかった「伊豆」です。今回は特急「踊り子」号に乗って、温泉地・伊豆長岡へ、1泊2日のひとり旅に出かけることにしました。
【踊り子号に揺られてGO!】

「踊り子号」は東京と伊豆地方を結ぶJR東日本の特急列車。時刻表を調べると、東京発修善寺行きの踊り子号は、午前9時台と正午12時台の2本が設定されています。今回の旅のテーマは、何をおいても「のんびりすること」。なので、12時発を選択しました。目的地の伊豆長岡駅へは13時55分に到着します。ちなみに特急券は、JR東日本のWebサイト「えきねっと」で手配できる在来線チケットレス特急券(トク割)を活用すれば、35%割引という恩恵に与かれます。そして予約の際、座席は必ず進行方向の「左窓側」を選びましょう。なぜならば、小田原駅先のオーシャンビューを堪能するためです。なお別途乗車券が必要ですが、伊豆箱根鉄道駿豆線の区間内は、IC系交通カードに対応していません。利用の際は「伊豆長岡」駅にて、三島駅からの区間運賃を現金等で精算してください。最後にもう一点。車内販売がないため、飲食品は乗車前に確保すること。記者は東京駅改札内の売店にて「まぐろいくら弁当」と日本酒を調達。相模湾の絶景を眺めながら駅弁を広げる時間は、まさに至福ですよ。


【鎌倉北条氏の記憶を訪ねて】
伊豆長岡を旅先に選んだ理由は、温泉地であることと、歴史の荒波を乗り越えた「鎌倉北条氏」ゆかりの地であるからです。源頼朝と共に天下を掌握するまで、北条氏が拠点としたのが、まさに伊豆長岡のエリアでした。散策の強い味方となるのが、伊豆の国市がWeb上で配布している「北条家ゆかりの地マップ」。PDFファイルをスマホ画面でいつでも確認できるようにしておけば、とても便利です。記者はまず、北条家の氏寺として名高い「願成就院(がんじょうじゅいん)」へと足を向けました。
【国宝・運慶作の仏像と対面】
願成就院の境内では、時代を象徴する2人の墓を目にすることができます。1人は、鎌倉幕府を支えた初代執権・北条時政の墓。そしてもう1人は、戦国時代に北条早雲に敗れた堀越公方・足利茶々丸の墓です。墓所を後にして、御朱印をいただこうと寺務所を訪ねると留守の様子。声をかけて現れたのは、西洋風の顔立ちをされた寺務職の方。日本語が堪能で、長く日本で暮らされていることが伝わりました。せっかくの機会なのでと拝観料を払い大御堂へ。そこに安置されていたのは、天才仏師・運慶の手による五体の仏像で、驚くことにすべてが国宝です!ガラス越しではなく、間近で拝める贅沢。これだけでも伊豆に来た価値を十分に感じさせてくれました。

【歴史の道を辿り、絶景の山頂へ】


願成就院が位置するのは「頼朝・政子語らいの路」と呼ばれる散策路の一角。道沿いには名所が点在し、次に訪れたのは、鎌倉幕府2代将軍・源頼家ゆかりの「光照寺」。さらに北上し、8代目執権・北条時宗の三男が建立したとされる「成福寺」や、「北条政子産湯の井戸」を巡りました。すると意外に時間が足りず、「眞珠院」「北条氏館跡」を見学後はタイムアップ。「北條寺」はあきらめて、最後に「守山山頂展望台」を目指したのですが、これが最大の誤算でした。気軽な遊歩道かと思いきや、後半は急勾配の階段が延々と続く難所。休み休みでたどり着いた山頂からは、先ほど巡った寺院や街並みが一望できる絶景が待っていましたが、富士山は雲隠れ……。まあ、明日に期待です。眞珠院側へ下山し、宿泊地へ向かいます。
【驚きのコスパ宿と、心温まる夜】
狩野川を渡り、温泉地特有の古い町並みを通り過ぎると、市役所に隣接する宿泊先のホテルに到着しました。平日宿泊で6千円を切る価格は、まさに激安。実は、「館内にエレベーターがない」「大浴場がある本館まで800m離れている」と、不便な点は否めません。ですが、頼めばいつでもワゴン車で送迎してくれるなど、フォローは万全。この手厚いサービスを考えれば、コストパフォーマンスは抜群と言えるでしょう。夕食はホテル近くの「おでん居酒屋」へ。出汁の染みたおでんは絶品で、接客も最高。旅先での一期一会に心が温まる夜となりました。

【義時の墓参りへ】
2日目は、前日に行けなかった「北條寺」からスタート。境内には2代執権・北条義時の墓があります。数年前、義時が主役の大河ドラマに魅了された記者としては、絶対に外せない寺院です。近隣には「義時の館跡」など、義時ゆかりの地が多く、歴史の面影を存分に辿ることができました。その後は狩野川を渡って、伊豆箱根鉄道の韮山駅へ。三島市内へ移動します。

【社殿が巨大な三嶋大社】


レトロな車両は、中伊豆の豊かな自然の中を真っすぐに走り抜けます。やがて豊かな緑が途切れ、市街地の景色が広がってくるとともに、韮山駅から15分ほどで「三島田町」駅に到着。副駅名は三嶋大社前。そう、下車した理由は、伊豆国一宮「三嶋大社」へ参拝するためです。三嶋大社は市街地の中心にありながら、一歩足を踏み入れればそこは別世界。参拝客で活気づく境内は驚くほど広大で、視界を圧倒する壮大な社殿の佇まいには、言葉を失うばかり。参拝後は、大鳥居近くの交差点の土産店で「三島コロッケ」なるものを見つけて頬張り、三島駅前に店舗を構える食堂では、「生シラスと釜揚げシラスのミックス丼」を完食。お腹も心も満たされ、次は在来線で熱海へと向かいます。


【熱海の人混みと、急勾配の試練!】

熱海駅前は観光客で激混み状態!まずは「來宮(きのみや)神社」へ向かうと、ここも想像以上の参拝客であふれていました(笑)。それでも、本州で一番大きいと言われる樹齢2100年を超える大楠は、圧巻の一言。見る価値大ですよ!そして、その次に向かったのが、源頼朝と政子が結ばれた地とされる「伊豆山神社」。熱海駅まで戻り、ようやく駅前の喧騒を抜けて静かな道に足を踏み入れたのも束の間、今度は登山道のような急勾配に容赦なく体力を奪われます。どうにか神社にたどり着き、ダメ押しの階段地獄を登りきると、そこには相模湾の絶景が!境内からは、青い海と空が溶け合うパノラマが一望できます。帰路はさすがにあの急坂を歩く気力はなく、路線バスを利用。熱海駅前でお土産をたっぷり買い込んだら、普通列車のグリーン車に乗車し、帰路に就きます。東海道本線から常磐線直通の上野東京ラインを経由し、松戸駅に到着する瞬間まで、深い眠りにつき、記憶がありません。
以上、歴史に浸り、温泉で癒やされた1泊2日の伊豆旅行でしたが、近場でもこれほど贅沢な時間を過ごせるとは驚きです! (パイン)


















この記事へのコメントはありません。