野馬除け土手(野馬除緑地)
2021年5月28日号 第638号
松戸市を含む千葉県北部は大昔から馬の産地となっていました。かつては下総牧と呼ばれ、その時代の有力者の持ち物として、野馬がだだっ広い土地で放牧されていました。大昔の松戸は、田や畑などのほとんどない荒れ地だったのです。
伝承では、平将門の乱において、下総牧で入手された野馬が活躍したとされています。当地で生まれ育った将門は、馬を自在に操り戦力として大いに活用したのです。
江戸時代には、下総牧の一部が小金牧として管理されるようになり、野馬除け土手がそのために用いられました。土手の高さは二メートル前後で、場所によってはその手前に一メートルほどの溝が掘られました。近年の宅地開発などによってその多くは失われましたが、野馬除緑地ではその一部を目にすることができます。
江戸時代に活躍した俳人・小林一茶は、松戸と縁が深かったこともあり、小金牧の野馬を読んだ句をいくつも残しています。
小金牧産馬は、野馬であったことから、力強く丈夫であったようですが、残念ながら乗馬向きとは言えなかったようです。ただ、ときに優秀馬を産出してその名を残しています。(かつ)
※主な参考資料/
「松戸史談」
「新編 旧水戸街道繁盛記」
※所在地/松戸市高柳新田
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