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埼玉県発祥の地、歴史ある行田市へ

2021年8月6日 第643号

今回の旅先は、埼玉県北部の行田市。この地には夏になると古代から甦った美しい蓮が咲き誇る公園をはじめ全国有数の古墳群に、難攻不落の城といった歴史的名所があり、足袋やB級グルメでも有名な城下町へ週末、久しぶりの日帰り旅行に出掛けてきました。

 

【ドライブで松戸から行田へ】

車で松戸から行田へ向かうには千葉県道5号線を北上して玉葉橋か野田橋で江戸川を渡って埼玉県へ入りましょう。国道4号バイパスから幸手市街地を抜けて埼玉県道152号線を通って国道125号を行田方面へ、朝の6時台に松戸を出ればそのコースで渋滞にハマることはまずありません。ですが埼玉県内には広域農道をはじめ思わずスピードを出してしまう信号が少なく長い直線道路が多いので注意してください。

【古代蓮の里】

古代蓮(行田蓮)
古代蓮の里「古代蓮池」

最近、蓮の花を見て思い出したのが行田市の古代蓮(行田蓮)でした。行田蓮は公共施設建設工事の際に地中深くに眠っていた種が掘削池にて自然開花した奇跡の花です。種を直接調べた訳ではありませんが地層の土器や木片を測定した結果、約1400年~3000年前の蓮ではないかということで「古代蓮」と呼ばれるようになりました。やがて古代蓮が自生した周辺は公園へと整備されて「古代蓮の里」となり、毎年7月になると美しい古代蓮を鑑賞に訪れる観光客で大いに賑わいます。
記者は目安の8時に北口駐車場に到着すると、まだまだ空きがありました。しかし車を降りて古代蓮池に向かうと既にそこそこの人混みでビックリ!まあそれもそのはず、1本の蓮の花の寿命はたった4日間で、早朝の7時から9時に花が咲いて、午後にはつぼみとなり、また翌朝花が開いて、つまり午後は綺麗に咲き誇る蓮が見られないので当然見物客は早朝に集中します。花に関して記者は素人ですが、美しい開花を見るには最低限の知識は必要だと実感しました。
 東京ドーム3個分の敷地内には古代蓮以外にも世界の様々な蓮が鑑賞できます。うどん店があり、地元の名産や市内店舗の品々が売っている売店や、おからやジャガイモをこねて揚げた後、ソースを塗ったB級グルメとして有名な「ゼリーフライ」の売店があり、さらに遊具を備えた遊び場があり、古代蓮の里は大人も子どもも楽しめる場所となっています。そして古代蓮会館の50m展望台に登れば、ギネス記録に認定された「田んぼアート」が見られますが、新型コロナウイルス感染対策で入場が制限されていたので午後の雷雨を考えて今回はやむなくパス致しました(泣)。

行田名物「ゼリーフライ」

【さきたま古墳公園】

蓮を堪能した後は車移動で10分程の場所にある「さきたま古墳公園」を訪れました。関東でも屈指の大きな古墳群があることで有名で2つの古墳に登ることが可能です。
まずは桜の木が立つ日本最大級の円墳「丸墓山古墳」を登ります。実は何百年も前に円墳の上に布陣した戦国武将がいます。天下分け目の戦い関が原で天下人徳川家康と戦った事実上西軍を率いた石田三成です。ご存知三成は豊臣秀吉の側近として活躍した知将で、秀吉が関東の覇者北条氏を倒すべく小田原攻めを行った際、別働隊として三成に2万の兵を託して行田にある北条方成田氏の居城忍城を攻めさせました。城攻のために三成が布陣場所として選んだのが見晴らしの良い円墳上だったのです。記者は三成の気分になり忍城方面を眺めると、復元された御三階櫓を見つけました。三成は利根川と荒川を決壊させて忍城を水攻めにするために総延長28㎞の堤を僅か5日~7日で築くのですが、その堤は今も「石田堤」として部分的に残っています。実は円墳に続く道も石田堤の一部です。

石田三成が陣を敷いた丸墓山古墳の頂
丸墓山古墳
稲荷山古墳

隣にある前方後円墳「稲荷山古墳」も登ることが可能で、ここから出土した副葬品は国宝に指定されています。その中でも百年に一度の大発見とニュースになった金錯銘(きんさくめい)を有する鉄剣「稲荷山古墳出土鉄剣もしくは金錯銘鉄剣」 は特に有名な国宝です。「金錯」とは「金象嵌(きんぞうがん)」のことで、象嵌とは象は「かたどる」、嵌は「はめる」、つまり1つの素材に異質の素材を嵌め込むことです。腐食が進む鉄剣を保護するためにX線検査をした際、鉄剣の表裏に刻まれた文字を発見したのですが、タガネで刻んだ型に金線を埋め込んで作られた115文字は、日本の古代史を明らかにする物凄い大発見となりました。県道を挟んで史跡館があ
り、古墳から出た国宝は200円を払えば間近で見ることが出来ます。その資料館の入場券で「将軍山古墳」の内部に入ることも可能で、内部は「将軍山古墳展示館」として整備されていて、復元した古墳の横穴式石室が見学できます。また公園の敷地内には、この地の旧名埼玉郡(さきたま)が埼玉県名発祥の地ということで巨大な石碑があります。

国宝は撮影禁止!ぜひ生で見て!
将軍山古墳内部
行田は埼玉県名発祥の地

【難攻不落の「忍城」】

小田原合戦の際、石田三成を総大将として盟友大谷吉継やその他名将が終結し、総勢2万の兵力をもってしても、たった2千人が籠る成田氏の居城「忍城」だけは最後まで落とせませんでした。関東七名城の1つであり、まさに難攻不落の城と言えます。そんな豊臣連合軍と北条方成田氏の壮絶な合戦模様は近年、小説や映画になり大ヒットしました。
忍城は湿地帯を利用した平城で、江戸時代阿部氏の治世には御三階櫓が建てられて城郭改修や城下町の整備が行われましたが、明治時代の廃藩置県において廃城となりました。現在、本丸跡には「行田市郷土博館物」が建てられ古代から現代に至る行田の歴史と文化をじっくりと学ぶことができ、復元された御三階櫓に登ることも可能です。

本丸跡の「行田市郷土博物館」
復元された忍城御三階櫓

【観光物産館 ぶらっと♪ぎょうだ】

忍城の近くにある商工会議所ビルの1階を改装してオープンした物産館で、行田市観光情報の案内やレンタサイクルの貸出しも行われています。店内は綺麗で豊富な商品が揃っていて、特産品や老舗店の商品等、お土産を購入するにはナイスな場所です。記者は地酒に和洋菓子、名店の奈良漬を購入して、勾玉の工作キットも購入しました。
取材日/7月17日(パイン)

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