和歌山県熊野本宮と梛の木の由来(松戸市金ヶ作)
2022年4月22日号 第660号
梛(なぎ)はマキ科の常緑樹で、針葉樹の仲間です。でも葉っぱは松や杉のような針状でなく竹の葉に似ていて、そのせいかはわかりませんが「竹柏」とも書きます。材質は緻密で、堅く丈夫なので家具や床柱に、樹皮は染料や柔軟剤に、種の油は灯火に、と大活躍な木なのです。さらに雌雄別株の梛は、縁結びや夫婦和合にご利益があるということで両方植えられている所もあります。さらにさらに古くより、旅行や交通安全、災難除け、心願成就などの祈りを込めて葉っぱを持ち帰り、鏡の裏や守り袋に入れていた、という何ともありがたい木なのです。
紀ノ国は、“樹の国”と言われるほど深い自然に満ちたところ。神々が住まう熊野は、蘇りの聖地とされています。熊野三山のひとつ、熊野速玉大社の梛の木は、なんと樹齢千年。熊野速玉大神である伊弉諾尊(イザナギノミコト)の「なぎ」の名を持つ梛の木は、熊野社のご神木です。
石碑があるのは、金ケ作熊野神社の境内。天明二年(一七八二)、この地を開拓するも翌年に浅間山の大噴火による火山灰が襲い、大きな被害を被ってしまいます。急遽、氏神様を祭神するにあたって、和歌山県の熊野本宮より御魂を賜ったのがこの熊野神社です。新京成線の常盤平駅から歩いてすぐの所にある熊野神社。駅近とは思えないほどの静寂さと自然を感じる神社は、地域の人々を静かに見守っています。
(ミイ)
※参考資料/『樹の手帳』岩谷美苗著 東京書籍
『熊野三山』 JTBパブリッシング
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