特集記事

旧街道を歩こう!甲州街道小仏峠編

2022年6月24日 第663号

『甲州街道』は江戸時代、徳川幕府によって整備された5街道の1つ。江戸から甲府を経て、下諏訪で中山道と合流する街道筋は現在、国道20号線が継承しています。記者が今回、ウォーキングに選んだ区間は、難所「小仏峠」越え!「並行して走るJR中央本線に乗ればわずか9分で移動できる距離。運動不足を解消するために最適だろう」と挑んだ結果は、いかに?

【高尾駅から旧甲州街道へ】

 都心から中央線快速に乗って約50分、終点高尾駅に到着です。ホームに立つ天狗像を見るのは何年振り?社寺風な駅舎の北口は、いつもながら老若男女ハイカーで大賑わい。記者はコンビニで飲料と軽食を買って国道20号線(甲州街道)を甲府方面へ向かいました。
 高尾駅前から15分程、中央本線のガードを通過すると西浅川Y字路に辿り着きます。現在の甲州街道(国道20号線)はY字路を左手に進み大垂水峠を通過して神奈川県に入りますが、記者はY字路を右手へ東京都道516号線を進みます。
実は甲州街道、明治時代に車両が通行できる道路にするためルートを変更しました。つまり江戸時代の小仏峠を通る甲州街道を踏破するには右手旧道を進まなくてはいけません。因みに旧道の小仏峠付近は現在も車両通行禁止。「つまり…、難所?」その時点で記者は、先に待っている地獄を知る由もありません(笑)。

ハイカーで賑わう高尾駅北口
江戸時代の甲州街道は右手へ

【小仏関跡】

小仏関跡

 進むにつれて道幅がどんどん狭くなる旧街道。その割には車の通行が多く、土・日・祝は路線バスも頻繁に通るので、沿道を歩く際は注意が必要です。そんな道を暫く進むと「小仏関跡」に到着。江戸時代は、この関所で「入り鉄砲に出女」を厳しく取り締りました。関所破りは、なんとはりつけの刑ですよ!しかし明治時代に関所は廃止。現在跡地は公園になっています。駒木野宿も関所の周辺にあったそうです。

【湯の花(いのはな)トンネル列車銃撃事件の慰霊碑】

慰霊碑入口

 関所跡を通過すると徐々に民家は減り、野鳥の鳴き声と共に川のせせらぎが耳を突きます。取材日は気温30度を越える真夏日。川辺に下りて無色透明の水に触れると、とてもひんやり感じられて、リフレッシュできますよ!
 その後、圏央道と中央道が交差する八王子ジャンクションを右手に眺めて街道を進むと「湯の花(いのはな)トンネル列車銃撃事件の慰霊碑」の入口に着きました。昭和20年、太平洋戦争末期、浅川駅(高尾駅)を出発した中央本線の満員列車が慰霊碑近くの「湯の花トンネル」に差し掛かった際、アメリカ軍戦闘機の機銃掃射によって多くの死傷者が出た戦争悲話をみなさんは知っていますか?慰霊碑は分かりにくい場所にありますが、ぜひ足を運んでみてください。

【豆腐屋のおからドーナツ】

 寂し気な山間の街道沿いに小さな豆腐屋とはシブイ!「水が奇麗な場所で作る豆腐は絶対に美味しいはず!」と購入したのが「豆腐おからドーナツ(5ヶ入)」!さらに先「浅川国際マス釣場」の側には無人野菜売り場を発見!今時、玉ねぎ2ヶ100円は安いですよね?無人野菜売り場は、この先にも点在していました♪
 レンガ造りのガードを通過し、集落を通り抜けると小仏バス停に辿り着きます。実は高尾駅からここまでは路線バスでアクセス可能です。トイレは峠山頂までありません。この先は、いよいよ住居もなくなり、ヘアピンカーブを通過すれば車両は通行止め。本格的な登山道に突入します!

街道沿いの豆腐屋さん
いよいよ小仏峠へ!

【えっ!小仏峠越えは、かなりキツイ!】

突如九十九折りの急勾配に!

登山道に入り、暫くは道幅もそこそこある緩やかな勾配を歩きますが、それも束の間、突如九十九折りの急勾配になり、擦れ違いも困難な悪路へと変わります!明治時代、車両を通すには厳しいとルートを変更されたまさに悪路区間!江戸時代、本当にこの悪路を馬や籠が往来したのでしょうか?獣道のような場所もあり、ハッキリ言って小仏峠越えは、かなりキツイです(泣)。

まるで獣道!

【下り道も悪路で、要注意!】

 息を切らし、休み休み進むと、ようやく開けた場所に到着しました。そこは景信山や城山へ続く登山道の合流地点で、東京都と神奈川県の県境です。ベンチに腰を下ろし一息入れた後、記者は街道筋を通って相模湖方面へ下ろうとしましたが、この後、恐ろしい体験をします!実は何処へ行くかも分からない登山道を突き進んでしまったのです!進む道がどんどん悪路になり、スマホのGPSで位置を調べると、明らかに目的地へ向かっていません。記者が道を誤った原因は、グーグルマップ上には高尾から小仏峠まで旧甲州街道の記載はありますが、小仏峠から相模湖方面へ向かう街道筋の記載がなく、直感に任せて進んでしまったからです。急ぎ休憩地点に戻り「分からない時には、人に聞いてみよう!」と地図を売っている方に道筋を尋ねたら、「すぐ、そこだよ」と指し示す方向に目を凝らすと旧甲州街道の案内板があるじゃないですか!とにもかくにも一安心。そして意気揚々と下り道を進んで行くと…、またも悪路…。いつも実感しますが、登りより下りの方がキツイ!

登山道の合流地点で、一休み♪
下り道も悪路で、要注意!

【江戸時代に建てられた小原宿本陣屋敷】

 舗装路に出た時は、もう涙もの!そこから20分程で国道20号線と再会です。暫く国道を甲府方面に歩くと住宅地が現れ「小原宿本陣」に到着しました。その昔、水戸街道の取手宿本陣屋敷を見学したことがありますが、ここも古そうな建物。それもそのはず!江戸後期の建築物で、神奈川県で唯一残る本陣屋敷とは大変貴重です!無料で見学できるので、ぜひ立ち寄りましょう!

小原宿本陣屋敷
小原宿本陣屋敷

【相模湖畔にて昼食】

相模湖駅に向かう前にせっかく相模湖の近くに来たのだからと、湖畔に立ち寄りました。湖畔は公園として整備され、隣接して飲食店やゲームセンターが立ち並んでいます。射的屋があったり、昭和感が漂うまさに記者好みの場所!お腹が空いたので、これまたレトロな定食屋に入りました。ビール、日本酒、おでん、もつ煮込み、ライスで締めて計1800円と大満足!
相模湖駅までは約5分程度の距離ですが坂道を登ります。峠越えをした足腰にはきつい道のりで、時間に余裕を持って移動してください。(パイン)

相模湖の眺め
JR中央本線「相模湖」駅に到着!

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