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石碑めぐり 250

回状念仏のある題目塔 流山の宝蔵院(流山市前ケ崎)

2023年8月4号 第691号

 流山にある真言宗豊山派 開光山 寶藏院(宝蔵院)の入り口には、左の写真のような立派な門柱があります。回状念仏のある題目塔は、右側の門柱の右脇の奥まったところにあります。
 石碑は三基並び、右端は「青面金剛」の文字が刻まれた道標です。その左側にある二基がいずれも回状念仏のある題目塔です(下の写真)。
 それらが珍しいものであることはひと目でわかります。法人の代表者印で用いられるような、回文+中文の構造になっているからです。
 法人の代表者印では、外枠には主に会社名や屋号、店舗名などを入れますが、二つの題目塔では、そこに、諸尊を梵字一文字で表した種子(しゅじ)が回状にいくつも刻まれています。その円の中心である中文の位置にも、同様の種子が大きく刻まれています。
 二つの題目塔のうち、右側は四国回国巡拝記念碑のようです。四国八十八か所の霊場を巡拝する、いわゆる四国遍路は、遠路でもあり、容易に行えるものではありませんでした。この巡拝塔がその代わりだったようです。
 左側の題目塔では、「光明真言億万遍供養」の文字が読み取れます。回状に刻まれている種子は、二十三文字からなる光明真言(こうみょうしんごん)の経文のようです。光明真言は、真言宗の中でも重要な経文で、それを一心に唱えることにより、すべての災いを取り除くことができるとされています。 (かつ)
※参考図書/「松戸史談 第43号」
◎所在地/流山市前ケ崎446

 

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