2024年3月8日 第705号
子ども食堂のイメージは、子どもが集まって食事をしている、というのが多いと思われますが、最近は少しずつ変化しているようです。今回はその様々なスタイルを紹介してみたいと思います。
その一 企業が主催 会場と食事、遊びを提供
松戸市大橋で、株式会社カクタさんが、かくた子ども食堂を主催しています。
一月の開催日は、あいにくの雨模様でしたが、広い社員食堂は常に満員でした。平均して毎回100人程の参加があるそうです。様々なグループでテーブルを囲んでいて、三家族一緒・家族単位・親と子ども一人ずつ・大人一人、等でした。
皆さんお話をしながら、楽しそうに食事をしていますので、感想を聞いてみました。
開催日は毎回来ている。家では食べない食べ物も、みんなと一緒なら食べてくれる。
来たのは2回目だけど、食事はみな美味しいし、お菓子やワークショップもあって、子どもが楽しいというので、毎回来ようかな。
食事は栄養満点で、安いし、近所のお友達に会えるのが良い。
小さな子どもがいるので、駐車場が広くて、車で来られるので助かる。
また、食事を作っているスタッフの方にも尋ねました。
活気があって良い。大人だけで来ている人もいますね。
主催者にも主催者にもお尋ねしました。地域の皆さんとの触れ合いができて良いですね。もっと子どもだけでも来られるようにしたい。楽しいお食事の後、子ども達はマリーンズの紙袋に入ったお土産を手にして、帰っていきました。
◎開催日時/毎月第三土曜日
◎場所/松戸市大橋327
◎連絡先/☎080・4635・6453
かくた子ども食堂
◎参加費用/子ども100円 大人500円
その二 企業が開催 焼き肉屋さんが作るお弁当
松戸市二十世紀が丘にある、焼肉ダイニングあがりさんは、焼肉屋さんが作るお弁当を提供しています。料理研究家・管理栄養士でメディアでも活躍中の、もあいかすみさんが、子ども達の栄養バランスや食べごたえに配慮して監修した3つのタイプのお弁当を提供しています。定番焼肉弁当・肉野菜ちらし寿司弁当・きのこのオムカレーです。予約開始日は毎回、朝から電話が鳴り続けていて、スタッフさんも驚いているそうです。またその開催に対して地域の方々から好評を得ているようです。
今後は子どもの栄養を考え、メニューの種類を増やし、また地域の子ども達の楽しい交流の場となるように、店舗を月に一度開放して、子ども食堂の開催も考えているとの事でした。
焼肉ダイニングあがり
子ども食堂の開催は、毎月第三水曜日
電話か来店して、予約することが必要です。
☎047・394・4629
小学生以下一人に一個、400円。提供数約30個程度。
その三 大学生が、ゼミ単位でボランティア参加
松戸市の高塚新田集会所で開催されている梨っ子食堂は、主催者の中村さんと大学生のボランティアが中心になって食事を作り、それを子ども達が手伝っています。食事の準備中も、大学生のお兄さん達は子ども達の恰好の遊び相手になっています。大学生が個人的に参加するのは、多いかもしれませんが、梨っ子食堂の場合は、千葉商科大学政策情報学部の戸川ゼミの学生さん達が毎回参加しています。
学生さんに参加するようになった経緯や目的などについて尋ねてみました。
ゼミ活動として、暮らしの安全と信頼社会に向けた地方都市の地域活性化をテーマとしている中で、松戸市が子育てし易い町ランキングの一位になっている事から、その現状を知ろうとして、梨っ子食堂と出会ったそうです。
子ども食堂のサポートを通じて、ゼミ生自身もまた色んな学びがあったようです。子ども食堂の運営は食材の提供を始めとして、地域住民の支えがなければ成り立たない。子ども達にとっては、横の繋がりのみならず、縦の繋がりが作れるスペースが大事。みんなが等しく笑いあえる環境づくりが必要不可欠なので、今後もその協力をしていきたい。
学生達は休日を返上して子ども食堂の活動に参加し、子どもの体験格差の解決を目指したオリジナルシールを使った恩送り・恩返し手帳を新たにデザインしているようです。彼らの熱心な活動のベースにはこういった真摯な考えがあった事が分かりました。
その四 老若男女全世代が参加
松戸市河原塚にある熊野神社境内では、月に一度、みんなのダイナーが開催されています。この会場ではグリーンスローモビリティ(グリスロ)が送迎をしていて、高齢者の移動の手助けをしているようです。
こちらの方々は全員85才以上ですが、毎回参加だそうです。高齢者の味覚にも合うように、食事が薄味に仕上げられているのが好評のようです。また食後のおしゃべりも楽しみだそうで、本当に皆さんニコニコ笑顔で楽しまれていました。
こちらでは若いご夫婦とお子さん達が楽しく食事をされていました。今回は2回目の参加だそうです。お金がかからず、栄養のバランスがとれた食事で、とても美味しいと言われました。最近転居されてきたそうですが、以前の住まいの近くには、こういった場所がなかったので、とても良いと思っているとの事でした。
子どもが大勢の時は和室でゲームや読み聞かせなどで楽しんでいます。独居の高齢者にとって、子どもの声が聞かれるので喜ばれています。そして、多世代交流の場になっています。
松戸向陽高校の6名の生徒さんが、ボランティアとして参加し、食事のお手伝いや、子ども達の遊び相手になっていました。誰かの役に立つ事ができて嬉しい、福祉に初めて関われた、という感想でした。
ランチ作りも大忙しです。ボランティアの方々は、沢山の人が来てくれ、楽しんでいるのが嬉しい、との感想でした。みんなのダイナーは、2019年から始め、コロナ禍の時はお弁当を作って販売していたそうです。やっと昨年五月から食堂が再開され、沢山の人達が集える場所になったそうです。最初は高齢者が多かったのですが、最近は学童の子ども達も来ていて、毎回約70食の準備をしているそうです。
(梨っ子食堂とみんなのダイナーの詳しい内容は、松戸市のホームページをご確認下さい)
今回四か所の子ども食堂を訪問しましたが、それぞれがとても個性的な活動をしています。子どもの貧困問題に端を発した子ども食堂ですが、今は多様な形があるようです。そして、その活動は子どもの貧困問題解決の一助になっているのは勿論ですが、それのみならず、開催している方々にも、無形の還元がなされているように思いました。先人はすてきな言葉を残しています。情けは人の為ならず。みんなが笑顔になれる場所が、ここにありました。
(まーちゃん)
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