特集記事

端午の節句

2023年4月7日 第683号

もうすぐ…こどもの日。今回は端午の節句に関することをご紹介いたします。

端午って何?

 子どもの健やかな成長を祝う端午の節句。ところで端午ってどういう意味でしょう。端午の端は「はじめ」、午は十二支の「午(うま)の日」の意。五月は午の月であること、午が数字の五と音が同じなこと、そして陰陽五行説(万物は木・火・金・水・土から構成されていて互いに作用することで成り立っているという思想)で奇数の重なる日を節日とすることから、五月五日を「端午」と表記されるようになりました。旧暦の五月は夏至のある月。陽から陰へ転ずる時であり、何かと悪疫が発生しやすい時期と思われていました。そこで災難を逃れるべく、邪気を祓う風習が行われてきたといいます。

五月五日は女の日?

端午の節句いろいろ

 端午の日は男の子の節句。だけど「女の家」とか「女の日」とするところもあります。近松門左衛門の『女殺油地獄』。「嫁入り先は夫の家、里の住家も親の家、鏡の家の家ならで、家といふものなけれども、たが世に許し定めけん、五月五日の一夜さを女の家といふぞかし」とあります。これは田植えの月に、田植えの担い手となる女性が家に籠り、物忌みを行ったことによるものだそう。少し前まで伊豆大島や高知では、菖蒲で男の尻を叩いて祓い清める行事があったのだとか。

幟(のぼり)は鯉だけじゃなかった?

 ♪高くのぼるやこいのぼり~。端午の節句といったら、そうこいのぼり。川にたくさんのこいのぼりを飾る行事もありますね。黒い真鯉はお父さん、赤い緋鯉はお母さん、ちょっと小さい子どもたち。でも江戸時代の幟は鯉だけではなかったようです。武者絵・鍾馗(しょうき)・神功皇后・牛若丸・弁慶・尉と姥(老翁と姥が能の装束をつけて熊手と箒で松の落ち葉を掃く姿)・金時・和藤内(「国性爺合戦」の主人公)など様々な絵が描かれていたとか。また、五色の吹き流しは、陰陽五行説から来ていて、魔よけの作用があるそうですよ。

鯉のぼり

西は粽、東は柏餅?

 昔、京阪では、男の子が生まれて最初の年に粽を、次の年から柏餅を贈ったのだとか。粽も二種類あって、一つは葦の串に新粉を付けて菰の葉を巻いて蒸した菰粽。包んだ葉の先まで60~70センチメートルもあったというから迫力ある粽ですね。もう一つは笹粽で、砂糖入りの生地を笹の葉で包んだもの。江戸では一年目から柏餅。柏の葉は古くから食物を盛るのに使われてきました。柏は、冬になっても葉が落ちず、若い葉が出るまで古い葉を落とさないため縁起の良い木と言われ、男の子の成長を祝う節句にその葉が使われるようになりました。あんこの他に、砂糖入り味噌を包んだ柏餅も江戸時代からあったようですよ。

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柏餅

尚武の節句?

花菖蒲

 端午の節句は、菖蒲の節句ともいいます。菖蒲には、山姥に追われた子供がその中に隠れて難を逃れたとの昔話があります。また、菖蒲は根の部分は特に香りが強く、その香りに霊力があると信じられてきました。さらに薬効があり菖蒲の葉をお風呂に入れた菖蒲湯に入ると、血行促進、腰痛や神経痛に効能があるとか。四日の夜に枕の下に菖蒲を敷いて眠る菖蒲枕は、厄除けになるそうです。
 また、同じく邪気を祓う効果のよもぎと束ねて、屋根に乗せたり軒に吊るしたりすると厄を祓い火事にならないと言われる軒菖蒲と呼ばれるものは四日の夜に下げて五日の朝に取るのが一般的だそう。地方によっては、菖蒲を束ねて地面を叩いて回る行事もあります。
 ところで、江戸時代の子供たちは菖蒲の葉を刀に見立てて「菖蒲切り」というチャンバラごっこをしていていました。菖蒲は、尚武(武を重んじること)や勝負が同じ音であることから、端午の節句に多く使われるようになりました。

鎧・兜は外に飾っていた?

 外に飾るこいのぼりとともに端午の節句を彩るのは、力強さや勇ましさを表した鎧兜や五月人形。人形は牛若丸や弁慶、金太郎の他、道教の神の一人である鍾馗など、武術や頭脳に優れた人たちが勢ぞろいします。現在、武者飾りは家の中ですが、江戸時代は屋外に飾っていました。江戸市中の様子が描かれた『東都歳時記』の「端午市井図」には、菖蒲の葉で作られた菖蒲冑が道に向かって飾られている様子が描かれています。
 その他にも、家の軒下に武者や鍾馗、亀甲や鶴亀、松竹梅が描かれた幟、槍などの武器などを飾ることが各地に広まりました。さらに江戸後期には、京都四条や大坂御堂前、江戸の麹町などに、端午の節句に飾る武者人形や菖蒲太刀、甲冑や武器類などを売る市が立ったといいます。

兜飾り

端午の節句に凧揚げ?

 端午の節句に行われる大凧揚げや凧合戦などには、魔よけの他、得幸祈願や占いの意味が込めれているといいます。埼玉県庄和町では、縦十五メートル、横十一メートル、重さなんと八百キログラムもある大凧を五月三日と五日に揚げるそうです。江戸川堤に揚げるこの大凧には、中央に初節句を迎える子どもの名前を書いた紙が貼られていて、神主が祝詞をあげ、子どもたちの健やかな成長を願います。この行事も元は養蚕の豊作占いとして挙げられたものだそう。
 端午の節句に凧を揚げる行事は、この他にも三河の吉田や、神奈川県の秦野市など関東から中部地方にかけて残っており、初節句のお祝いに凧を贈る風習も各地にありました。五月の空を彩るのは鯉と凧、なのですね。  (ミイ)

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折り紙で作った兜

※参考文献/
 暦と行事の民族誌 佐藤健一郎・田村善次郎著 八坂書房
 史料で見る和菓子とくらし 今村規子著 淡交社
 子ども歳時記 広田千悦子著 扶桑社
 くらしの歳時記 古川朋子 監修 主婦の友社
 日本人 祝いと祀りのしきたり 岩井宏實著 青春出版社
 日本の歳時伝承 小川直之著 アーツアンドクラフツ

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