華厳寺(松戸市幸田)
2024年3月8日号 第705号
華厳寺は、下総台地の高い場所にあります。近くの幸田貝塚からは、縄文時代における住民の生活の痕跡がたくさん発掘されており、この地域の歴史の重みが感じられます。
華厳寺も、千年以上の歴史があるようです。住職のいない時期があったので、起源については不確かですが、檀家には「泣き地蔵」についての伝説が残されており、そこから少なくとも七百年以上前にはこの地にあったと考えられます。
その伝説によると、近くの坂川が氾濫した際に、かつての幸田川にとても大きな板が流れ着いたとされます。その大板を橋として使ったところ、住民が渡るたびに悲しそうな鳴き声が聞こえたそうです。
驚くことに、その鳴き声の主は、橋とされていた大板そのものでした。大板の裏側に彫られていたお地蔵様が泣いていたのでした。
住民は、この「泣き地蔵」の大板を、近くにあった華厳寺に祀ることにしました。それ以来、この地では火事が起こらなくなったそうです。
ここから、華厳寺の本尊である木彫りの地蔵尊は「火防地蔵尊」と呼ばれるようになり、華厳寺も「火伏せの寺」として信仰されるようになりました。(かつ)
※参考図書/
「小金地域の歴史」「松戸の寺松戸の町名の由来松戸の昔ばなし」
◎所在地/松戸市幸田1・129
この記事へのコメントはありません。