本福寺700年記念聖観音(松戸市上本郷)
2024年11月22日号 第722号
上本郷・時宗禮拝山(らいはいざん)本福寺境内の道路側に界隈を見守るかの様に本福寺700年記念聖観音像が建立されています。世音を観ずる、聞いてあげる、駆け付けてあげる、わかってあげる、悩みを聞き届ける。菩薩の中で古来より最も身近でいつも祈りの対象にされる観音の信仰は、仏教が我が国に到来した当初からあったと考えられています。聖観音菩薩のお姿は、手にあらゆる願いをかなえる不思議な珠(如意宝珠)首に刻まれた3本の皺は、三道(煩悩、業、苦)のありようを示す。首から全身に流れる様に掛けている帯、重さのないものといわれ肢体に軽やかにまとわりつく。そして、汚濁に満ちた現実と対極にある理想の境地と極楽浄土の生まれ変わりである事を象徴する蓮華座の上に立っています。本福寺は東葛地方でも僅か三ヶ寺しかない時宗遊行派の寺院です。時宗という宗派は鎌倉時代に一遍によって始められた仏教で、本福寺は嘉元年(1303)二祖、他阿真教上人(たあしんきょうじょうにん)によって開山され踊り念仏に使われる鉦鼓は日本で6番目に古い鉦(かね)ご本尊は室町時代に鋳造されたと言われる善光寺式阿弥陀三尊像で、鉦と共に松戸市指定文化財です。幕末の思想家、吉田松陰は嘉永4年(1851)12月14日、22歳で長州藩を脱藩し東北へ向かう途上、追手から逃れるため、松戸の旅籠を避け、街道から離れた本福寺の門を叩きました。住職である了音和尚は松陰を快く迎え入れ見も知らぬ旅人をもてなした寺としても有名です。 (ゴジラ)
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