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石碑めぐり 269

関口平太郎顕彰碑~芥川龍之介の撰文碑~(埼玉県蓮田市)

2025年8月1号 第739号

 蓮田市街地から車で北へ15分ほど、根金(ねがね)地域の稲荷神社に建つ『関口平太郎顕彰碑』を紹介します。こぢんまりとした神社の境内に建つこの石碑、実はとんでもない貴重なもの!その理由は、全国で数少ない芥川龍之介の碑文の中で最も古く、唯一の自撰自筆なのです。でも、みなさん、「関口平太郎って、どなたですか?」と思いますよね。その平太郎ですが、この地域の農家に生まれ、幼い頃に病気を患い足が不自由だったため、あん摩師になりました。やがて現在の東京都新宿区であん摩業を営んでいたとき、近所に住んでいた龍之介を施術し、以後2人は親しくなります。平太郎は、困っている人を見過ごせない優しい性格だったようで、明治38年の東北の大飢饉の際には子どもたちに学用品を贈り、大正5年には地元平野町や岩槻町の子どもたちに奨学支援金を寄付しました。そんな彼の功績を後世に伝えたいと考えた村人たちが、石碑を建てようと計画。龍之介に碑文を依頼したとのことで、何だかすごい話ですよね。碑文が書かれた時期は大正6年、平太郎は33歳、龍之介は25歳で、名作「羅生門」を世に出したころ。後の大文豪は「正直の頭に神宿るとはかう云う人」と平太郎に最大級の賛辞を贈っています。(正直の頭に神宿るとは、正直な人には必ず神の助けがあるということわざ)。2人の親交は龍之介が35歳で亡くなるまで続いたそうです。(パイン)

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