特集記事

久留里線沿線散歩

2026年4月10日 第755号

 今年の2月9日、JR東日本は久留里線の一部区間を来年4月1日付けで廃止し、バス転換することを発表しました。この知らせを聞いた鉄道好きの記者は、「久留里線の廃線予定区間に今のうちに乗車して、沿線観光をしよう!」と思い立ち、さっそく取材へと向かいました。

久留里線の車両

 久留里線は、千葉県木更津市の木更津駅と同県君津市の上総亀山駅の32・2㎞を結ぶ路線です。最大の特徴は全線非電化であり、ICカード(Suica
など)に対応していない点にあります(来年度から利用可)。非電化路線とは電線が設置されていないため、電車ではなくディーゼル車両が走る路線のことで、久留里線は千葉県のJR線で唯一の非電化路線となっています。
 来年の4月1日付けでの廃線が決まった区間は、久留里駅から上総亀山駅の9・6㎞です。この区間を走る列車は1日に上り9本、下り8本のみで、乗車難易度が高いことが知られています。

 記者は新松戸駅から武蔵野線、南船橋駅で京葉線、さらに蘇我駅で内房線と乗り継ぎ、久留里線の起点駅である木更津駅まで向かいました。久留里線のダイヤを確認すると、木更津駅7時25分発の上総亀山行の後、同駅13時1分発まで5時間以上も上総亀山行の列車がありません。そのため、新松戸駅の出発時間は朝の5時半過ぎという、非常に早めのスタートになりました。
 平日の乗車でしたが、途中の久留里駅までは高校生が乗車しており、車内はとても賑やかな様子です。ところが、久留里駅を過ぎて高校生たちが一斉に下車し、廃線予定区間に入ると、乗車人数は一気に減少しました。車内に残ったのは10人程度となり、ローカル線らしい静かな時間が流れ始めます。
 列車は久留里駅を過ぎると、山間地に入り、川沿いを進みます。急なカーブが多い区間になるため、列車の速度は遅めです。上総松丘駅から上総亀山駅の間ではトンネルが現れ、旅情を誘います。こうして、新松戸駅を出発してから約3時間の旅を経て、終点の上総亀山駅に到着しました。
 久留里線ではICカードが使えず、券売機のない無人駅が多いため、乗車する際はみどりの窓口や多目的券売機で事前に切符を購入しておくのが安心です。また、休日に乗車する場合は休日おでかけパスというフリーパスを購入することも、お得な旅の方法としておすすめです。

列車は山間地を進んでいく
終点の上総亀山駅
久留里線の車止め

 上総亀山駅から徒歩約10分の場所には亀山湖と亀山ダムがあります。駅から亀山湖まで歩いていると、出発してすぐの場所に久留里線の車止めを見つけました。ローカル線ならではののんびりとした様子を写真に収めることができます。
 亀山湖は人造のダム湖で、紅葉の時期には多くの人が紅葉狩りに訪れるスポットとして有名です。湖の周辺各所にはボートハウスが完備されているので、ボート遊びや釣りを楽しむことができます。湖の周りを散策していると、湖上に朱色の鳥居を発見しました。これは亀山水天宮の鳥居で、風の無い晴れた日には湖面に鳥居が映る「逆さ鳥居」を見ることができるそうです。

亀山ダム。この日は放水していませんでした。
亀山水天宮の鳥居

 亀山ダムは、昭和56年3月に完成した、県内で最初かつ最大の多目的ダムです。ダムの管理事務所では訪問記念にダムカードを貰うことができます。記者もダムカードをゲットしました。なんと、亀山ダムの他に、亀山ダムの上流にある片倉ダムと木更津市にある矢那川ダムのカードも頂けました。一度に3枚もカードが貰えて、カードコレクターの記者には嬉しいプレゼントとなりました。

取材日は曇りで逆さ鳥居は見られませんでした。
清水渓流広場 亀岩の洞窟

 続いて訪れたのは、上総亀山駅からタクシーで20分ほどの場所にある清水渓流広場です。ここは、片倉ダムを造るときに整備された自然公園の一つとなっています。訪れる際は、利用料金の安い予約制の君津市のデマンドタクシーの利用がおすすめです。
 公園内にある濃溝の滝・亀岩の洞窟は、洞窟から差し込む光がハート型を描く幻想的な光景が見られる場所として話題になり、人気の観光地となっています。洞窟を流れる川は、川の流れを変えて旧流路を水田化する川廻し、という房総丘陵特有の工事によって生まれました。公園内にある旧流路は木道として整備されており、6月から7月には蛍が飛び交う場所となっています。
 洞窟のハート型の光景が見られるのは、お彼岸の時期の早朝とスーパームーンの時です。暗い時間帯に撮影に行く際は、外灯がないため、必ずライトを持参して行くようにしてください。

清水渓流広場 木道

 最後に、久留里駅から徒歩約35分の場所にある久留里城と久留里城址資料館を訪ねました。久留里城は、築城後、3日に1度21回も雨が降った伝説から、別名雨城と呼ばれている城です。戦国時代に房総里見氏の本城として名を馳せ、明治維新により廃城されるまで、大須賀氏、土屋氏、黒田氏といった徳川譜代大名の居城となりました。明治5年に建物は解体されましたが、多くの人が再建を望み、昭和53年に天守閣が再建されました。
 駐車場から資料館までの道のりは長い急勾配の坂道なので、坂道の入り口には竹の杖が置いてあります。記者は杖を借りずに登っていったので、資料館への道のりが想像以上に辛いものでした。しかし、資料館の外から見える城下の眺めが美しく、疲れは一瞬で吹き飛びました。
 天守閣は、資料館から5分ほど歩いた場所にあります。令和5年に発生した地震により屋根上にある鯱瓦が破損・落下したため、天守閣内部に入ることができません。それでも、外側から眺める美しい天守閣の様子を、しっかりと目に焼き付けてきました。
 来春で見納めになるこの区間。みなさんも久留里線に揺られながら、房総の自然と歴史を味わう旅に出かけてみてはいかがでしょうか。(ベース)

久留里城天守閣
久留里城から見える絶景

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