甲子講(平戸弁天)(松戸市大金平)
2026年4月10号 第755号

松戸市大金平にある弁天社のそばには、「甲子講」と刻まれた石碑が建てられています。
甲子(きのえね)は十干十二支の最初にあたる日で、万物の始まりや再生を象徴する吉日とされてきました。この特別な日に集まり、祈願や飲食をともにしたのが甲子講です。庚申講と並ぶ干支信仰の一つで、家運隆盛や商売繁盛を願う場として、江戸時代以降に各地へ広がりました。
甲子の「子」は十二支の子(ね)を指します。子、すなわちネズミは、火難に遭った大国主命を救ったという出雲神話にちなみ、大国主命と習合した大黒天の使いとされました。農村においてネズミは本来、稲作の天敵でもありますが、そうした性格を併せ持ちながらも、甲子の日には大黒天へ豊作を祈願する講が営まれました。
一見すると弁天信仰と甲子講は別のもののようですが、民間信仰の中では自然な結びつきを持っています。弁天は水や財福、芸能を司る神として広く信仰されてきました。繁栄や福徳を願う甲子の性格は弁天信仰とも響き合い、講中が弁天社を拠点とした可能性も考えられます。平戸弁天のそばに残る石碑は、地域の人々が吉日に集い、祈りを重ねてきた歴史を今に伝えるものといえるでしょう。(かつ)

※参考図書/「流山の史跡をあるく」
◎所在地/松戸市大金平3丁目
















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