2023年2月10日 第679号
神奈川県大磯町と言えば何を連想しますか?昭和生まれの記者は、海、ビーチ、海水浴、リゾート地、芸能人水泳大会などを思い浮かべます。小田原方面へ取材に行く際、何度も通過した大磯町ですが、実は海水浴だけでなく登山も楽しめるんですよ。今回は大磯駅から近い湘南平(標高180m)へ、低登山の旅に出掛けてきました!
【目指すは湘南平!】
東京駅から電車で約1時間。大磯は江戸時代、東海道の宿場町として栄え、明治時代には日本初とも言われる海水浴場が開設。以降、保養地・別荘地として発展し、伊藤博文、吉田茂、安田善次郎といった政財界の大物たちが土地柄の良さゆえに別荘・邸宅を構えました。そんな大磯、海水浴を楽しめて相模湾の新鮮な海の幸を堪能できるだけではなく、記者の大好きな低登山も楽しめると知ったのはつい最近。大磯町と平塚市の境にある高麗山と泡垂山の山頂一帯は「湘南平・高麗山公園」として整備され、相模湾から富士山まで見渡せる絶景スポットです!
【今年も活躍、JR休日おでかけパス】
JRを利用して松戸市内から東海道本線大磯駅を往復するには3000円以上の運賃が掛かります。ならば日帰り旅行で幾度も紹介したJRのお得な切符「休日おでかけパス」の利用でキマリ!2720円で既にお得&途中下車が何度も可能です。さらに普通列車グリーン車の利用がとてもお得。東海道線、常磐線の利用でホリデー事前料金は片道800円。ゆったりリクライニングシートに座れてちょっぴり贅沢な旅になります。記者はヘトヘトになるであろう帰りのみ利用。品川駅で乗り換れば常磐線は始発。好きな座席をじっくり選べてオススメですよ。
【まずは大磯港で腹ごしらえ】
今回、大磯駅へ11時に到着する予定を立てました。えっ、普段の旅に比べて出発が遅いと感じます?(笑)。実は旅の第一目的地を大磯港にある新鮮な魚料理が食べられる人気食堂の開店時間(11時半)に合わせたのです。明治20年、海水浴のために開業した大磯駅。記者が訪れたのは真冬の大みそか前日……。それでも駅前で「大磯海水浴場へようこそ」のアーチ看板を目にすると南国ムードを感じました。
駅前から大磯港へは徒歩で10分程。さざんか通りを下り、年始の大学駅伝コースになる国道1号線を渡れば海はもうスグ!西湘バイパスのガードを通過して大磯港に到着です。目的地の飲食店では二番目をゲット!数分後にはすぐ行列となりました。表に立つメニュー版を見ると、その日のランチは約50食で、記者は贅沢な刺身定食(2200円)をチョイス。開店時間となり店内のカウンターに案内され、やがて運ばれてきた料理のボリュームにビックリ!フライもついてますが衣がサクサク、身はフワフワで本当に美味しい♪あっという間に完食です。山登り前の腹ごしらえで多少不安になるも大満足♪尚1月~3月は禁漁ですが、記者が大好きな生しらすが食べられる土地とあって(当日は不漁でした)、再訪したいお店です。
【日本初の海水浴場へ】
食後、大磯港の隣にある照ヶ崎海岸へ。日本初の海水浴場が開かれたと言われている場所です。とにかく海岸からの眺望が素晴らしく、その日、残念ながら富士山は拝めずも江ノ島から伊豆半島、伊豆大島まで見渡せて、まさに絵になる風景! 冬時にも関わらず多くの人で賑わっていました。
【東海道は名所だらけ!】
国道1号線は、江戸時代に整備された東海道の道筋を継承しています。大磯は宿場町だけあって沿線は名所だらけ。同志社大学の前進、同志社を創立した新島襄終焉の地や、日本三大俳諧道場「鴫立庵」には湘南発祥の地の石碑が立ち、松並木の様子は江戸時代の街道風情を今に伝えます。脇道に入り立ち寄ったのは文豪島崎藤村の邸宅。残念ながら年末年始の休館で邸内は入れず、塀越しに外観を撮影して湘南平の登山口(高田公園コース)へ向かいました。
【急勾配から見られる景色が見事!】
伊藤博文が造った東海道線沿いの道を通り、大磯小学校前のガードを通過して妙大寺の先を右手へ進みます。するとその先は九十九折り急勾配!高度がどんどん上がっていくに連れて目の前には相模湾の絶景が広がります。そんな坂沿いにも関わらず住宅が多く建ち並んでいるんですよ。毎日、絶景が見られるけど、この急坂を上り下りするのはきつい……。いや、自然と足腰が鍛えられて健康に良いのかも?息を切らして目指すは高田公園。案内板がない分かれ道で迷わないよう注意してくださいね。
【長い階段が現れると本格的な山登りの始まり!】
暫くして高田公園に到着しました。ここから先は本格的な山道と思いきや、まだまだ住宅が見られます。庭を手入れされていた方に湘南平の道筋を訪ねると、「そのまま真っ直ぐですよ。最後は急な坂を上がるから気を付けて」と教えてくれました。やがて住宅はなくなり、長い階段が現れるといよいよ本格的な山登りの始まりです。
【古代の遺跡へ】
急勾配や狭い場所もありますが、前回の低山、千葉県の富山より全然楽な道のりです。暫くすると分岐点があり、山頂へ向かう前に楊谷寺谷戸横穴群(ようこくじやとおうけつぐん)へ立ち寄ります。この横穴群は古代の遺跡で墓場跡。山裾の神秘的な様子を間近で見られますので、ぜひ寄り道してください。その後、分岐点まで戻り先へ進むと麓の高来神社へ続く道と合流します。そこから山頂の湘南平まではもう僅かですよ!
【湘南平に到着!】
湘南平は高麗山公園として整備されていて多くの人で賑わっていました。ひと休み後は、ぜひ360度のパノラマを堪能できる展望台へ!高所恐怖症の記者ですが頑張っててっぺんまで登ると、絶景に大感動!そして、えっ!駐車場を発見……。そう、湘南平は車で気軽にアクセスできるようですね(笑)。
【下りは高来神社コースへ】
下りは麓の高来神社へ続く道(高来神社コース)を進みましたが、記者は思わず道を間違えます。予定では湘南平→八俵山→高麗山山頂→女坂を通過して麓の高来神社へ下るはずが、八俵山の分岐点で案内板が示す「高来神社」方面へ向かいました。実はそれが落とし穴!そこは「大堂」方面へ向うのです!そこそこ狭く険しい道を下り人気もなく「おかしいな?」と感じましたが……、記者が進んだ道は高来神社に下るショートカットコース。因みに大堂とは、かつて高来神社の上宮があった場所(高麗山山頂)です。
【高来神社から大磯駅へ】
規模は小さくも神武天皇の時代に創建とも伝わる歴史ある神社です。境内は初詣の準備でどことなく忙しい様子。そんな中、記者はどうにか御朱印をいただけました。神社鳥居前は国道1号線(東海道)です。途中の分かれ道は、松の木が立ち並ぶ旧道を選択し(また国道と合流します)、いにしえの旅人気分に浸って大磯駅へ。満腹での登山、道を間違えるもどうにか無事に終了です(笑)。 (パイン)
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