水神さんの石祠(松戸市下矢切)
2023年3月10号 第681号
江戸川や坂川による水害に悩まされてきた松戸には、写真のような水神の石祠や石塔などがいくつも見られます。有名な「矢切の渡し」の近く、江戸川の堤防の下に見える小さな木立の中で静かにまつられているのが「水神さんの石祠」です。
神道での水神は「弥都波能売神(みづはのめのかみ)」もしくは「罔象女神(みつはのめのかみ)」とされることが多いのですが、「水神さんの石祠」の背には「弁財天 水神」と刻まれています。
弁財天は、学才や福富、音楽の神として広く知られていますが、もともとはチベット高原からインドや中国にも流れる、パキスタン最大の河川「インダス川」そのものの自然神です。自然崇拝のなかから生まれた弁財天は、そのうちにインダス川のみならず、水の神として、さまざまな河や海のほとり、池の中心などに神祠を持つようになりました。
日本には、鎌倉時代に、「河伯」という水神が、弁財天の姿になって渡来したと伝えられます。「河伯」に関する民間伝承は多く、日本書紀にもその記述があり、頭に皿のある「河童(かっぱ)」とは別者です。 (かつ)
※参考図書/「わがまちブック 松戸」「松戸史談」「図説 日本民俗学全集」
◎所在地/松戸市下矢切1146
この記事へのコメントはありません。