慶安三年銘庚申塔(圓勝寺)(松戸市古ケ崎)
2025年12月5号 第747号

松戸の江戸川堤防下には、かつて不動堂があり、不動明王とともに、松戸市内最古とされる慶安三年(一六五〇)の板碑型庚申塔が鎮座していました。
不動堂が堤防下に建てられていたのは、水害を防ぐ守護神としての役割、村境や渡し場における結界の機能、また川筋を利用する人々の交通安全や無病息災を願う信仰が考えられます。不動明王は火焔を背にして災厄を断ち切る存在であり、庚申塔は病除けや延命を願う庚申講の人々によって建てられます。この二つが並んで祀られていたのは、水害や疫病に悩まされた川沿いの生活を反映したものであり、また同じ講中の人々が共同で維持していたためだと思われます。もしかすると、庚申塔は本来別の場所に建っていたものが、堤防工事や土地利用の変化に伴い、不動堂に移されたのかもしれません。
しかしながら、その土地が売却されたことで不動堂は移転を余儀なくされました。庚申塔は近くの圓勝寺に移された一方で、不動明王像は行方知れずとなってしまいました。
圓勝寺は勢至菩薩を本尊とし、もとは江戸川堤防内側にありましたが、大正四年の江戸川改修工事により現在地に移転した歴史をもちます。同寺に移された、松戸市内最古とされる慶安三年(一六五〇)の板碑型庚申塔は、境内入ってすぐ右手に鎮座しています。 (かつ)
※参考図書/「わがまちブック 松戸」「松戸の寺 松戸の町名の由来 松戸の昔ばなし」
◎所在地/松戸市古ケ崎175

















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