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お手頃?休日の旅 東金線完全乗車&廃線紀行!

2021年6月11日 第639号

記者が千葉県内においてなかなか乗車できなかったのがJR東金線です。僅か5駅13・8kmの短い路線ですが、120年以上の歴史があります。中間駅である東金駅と九十九里町の片貝を結んでいた九十九里鐵道の廃線レポートも兼ねて、この度、探訪してきました。

 

【千葉駅から大網駅へ】

JR東金線209系

 JR東金線はJR外房線大網駅とJR総武本線成東駅を結ぶ路線で、日中は1時間に3本程度の運行と首都圏のローカル線と言えます。1時間に1本は千葉駅から東金線へ直通運転している列車もあり、記者はまず大網駅へ向かいました。

【知っていました?「大網」駅の秘密】

地図を見ると大網駅は二股の形状をしています。あれ?どこかで似たような駅を見たことはありませんか?そう、千葉駅と全く同じ形状ですね。北側の曲線状ホームが東金線専用で、南側の曲線状ホームが外房線専用になっています。実は大網駅は昭和47年、現在の場所に新駅として開業しました。それ以前は東金線福俵駅方面の少し北側に旧駅が位置し、外房線列車が千葉方面から勝浦方面へ向かうにはスイッチバック(折り返し運転)が必然でした。

「大網」駅にて東金線ホームから外房線ホームを眺める。

同じく千葉駅も昭和38年以前、総武本線東千葉駅付近に位置した旧駅では、東京方面から来た列車が房総方面へ向かうにはスイッチバックを行いました。つまり外房線は都内と房総間で2度のスイッチバックが強いられて、その面倒を解消するために大網駅も移設して現形状になったのです。そんな旧大網駅と旧外房線の遺構は今も多少残っています。大網駅ロータリーから東金線沿いに歩いて数分、金谷踏切の側では旧外房線用のレンガ製橋台を見ることが可能です。残念ながらレールは平成8年に撤去されてしまいました。踏切地点から福俵方面へ歩いて行くと公園があり、そこが旧大網駅跡で、懐かしい枕木式信号機がモニュメントとして立っています。

旧外房線用のレンガ製橋台が残る金谷踏切付近

【閑散とした「福俵」駅】

東金線は日中、本数が少ないので時刻には注意してください。
 列車は大網駅を出ますと北へ向かってカーブし、旧大網駅まではゆっくりと進みます。やがて単線区間になると加速して田園風景が広がる沿線を快走します。そして最初に到着するのが福俵駅。記者は駅名からお米が沢山収穫できそうな土地だなと感じました(笑)。無人駅で駅舎はなく、狭く長い片面ホームにはちょっとした待合室がポツリとあるだけで、東金線内の駅では最も旅情(孤独)に浸れます。

無人駅「福俵」

【今年で開業121年!「東金」駅】

東金市の中心駅で、駅舎や駅前ロータリーと全体的に懐かしい風情を感じます。かつては同駅と九十九里町の片貝を結ぶ九十九里鐵道の接続駅でしたが、昭和期の高度経済成長期のモータリゼーションによって鉄道事業は昭和36年に廃業してしまいました。ですが現在も社名は「九十九里鐵道」のままバス専業会社として営業中で、また終着駅片貝駅の名もバス停留所として残っています。
 東金駅西口から路線バスで片貝方面へ行くには、これまた本数が少ないので列車の時刻と合わせて注意してください!行き先は「片貝駅」や「海の駅」ならばベストですが、なければ循環バスで「西之下」で降車しましょう。東金駅東口から片貝駅へ向かう九十九里ライナーバスも合わせて調べてみてください。東金駅から片貝への徒歩移動はまず無理?タクシー利用だと手痛い出費になると思います。

懐かしい風情を感じる「東金」駅
九十九里鐵道路線バス

【イワシの町、片貝】

「西之下」バス停で降りると沿道には魚屋が見られました。九十九里浜はもうすぐそこです。廃線紀行をする前に、せっかく九十九里町に来たのですからランチには美味しい魚を食べましょう!
 九十九里町片貝と言えば江戸時代から全国屈指の水揚げ高を誇るイワシ!片貝漁港の側にある「海の駅九十九里」にぜひお立ち寄りください。新鮮で美味しいイワシ料理が食べられます。バス停から海の駅までは結構歩きますが、美味しい食事ができる前の運動と頑張りましょう!

海の駅 九十九里

【海の駅九十九里】

 実はバス停付近や道中にも食堂はありますが、今回は素晴らしい施設「海の駅九十九里」を一押しします。1階は土産店や魚介類が購入できる店舗と、片貝イワシ漁の歴史が学べる施設があり、2階には新鮮なイワシ料理を食べられるお店があります。記者のお目当ては「いわし御膳」!室内で食べるも良し、遠目にはなりますがバルコニーで海を眺めて食べるも良し!刺身、天ぷら、甘露煮、つみれ汁、イワシのフルコースに大満足!も
ちろんイワシだけではなく様々な海の幸を堪能できますよ。
 さて、満腹になった後は、廃線探訪でお腹をへこませましょう!

おすすめ!いわし御膳

【九十九里鐵道の廃線跡「きどうみち」】

 九十九里鐵道の片貝駅跡は現在、バスの発着所「片貝駅」として機能しています。バス停から県道を渡り西へとゆるくカーブをする何気ない路地がありますが、それが九十九里鐵道の軌道跡です。 暫く道を進むと「きどうみち」と示されたゲートが現れてその先は整備された遊歩道へと変わります。片貝に来る際にバスで通った県道と並行して、きどうみちは東金駅方面に向かって続きますが、九十九里町と東金市の境でプツリと途切れます。片貝から歩くとそこそこの運動になりますよ。記者は再びバスに乗って東金駅へ向かいました。

九十九里鐵道「片貝」駅跡
「きどうみち」は九十九里鐵道の廃線跡

【千葉県内屈指の難読駅名「求名」】

東金駅から再び列車に乗って次の駅「求名」で下車しました。千葉県屈指の難読な駅名で「ぐみょう」と読みますが、絶対に読めないですよね?
 駅側に大学があり、学生の姿が目立ちました。以前、道の駅特集で紹介した「みのりの郷 東金」は駅から無理なく歩いて行ける位置にあります。

千葉県内屈指の難解駅名「求名」

【東金線の終着駅「成東」】

求名を出た列車は数分で成東駅の0番線に到着しました。東金線はここで終点となり大網方面へ折り返します。近年駅舎は洋風な造りに生まれ変わりましたが、駅構内は長いホームなのに屋根が短い点やホームにポツリとある待合室等、随所にレトロ感が残っています。総武本線を経由する特急「しおさい」号を利用すれば千葉や銚子へ楽にアクセスが可能です。(パイン)

成東駅

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