特集記事

松戸辺りで見かける 鳥

2022年3月11日 第657号

ハトやカラスだけじゃない。松戸には、たくさんの鳥たちが棲んでいます。一番なじみのある野生動物である鳥。それぞれの物語を少しのぞいてみましょう。

アオサギ じっとしていることも多い
スズメ 20年で34%も減少している

◎ことわざに出てくる鳥

◆鶯(ウグイス)
「ホーケキョケキョ」。春まだ浅い時期のうぐいすはまだ鳴くのがへたくそ。暖かさが増すとともに鳴き方も上手になる、まさに春の到来を告げる鳥です。笹や藪の中に巣を作り、卵の大きさや色がホトトギスと似ていることから、托卵されることもあります。

★梅に鶯
取り合わせのよい二つのもののたとえ。梅の枝に鳥がとまっている絵をよく目にしますが、あれはメジロ。うぐいすは梅の木にとまることはほとんどなく、うぐいす色でもありません。
 他にも「竹に雀」、「柳に燕」、「卯の花にほととぎす」などの同じような表現があります。

◆鳶(トンビ)
太陽の熱で地表が温められたことによって発生する上昇気流。これを翼でとらえ、はばたかずに上昇していきます。大空を旋回しながら優雅に飛ぶトンビは、最もよく見られるタカの仲間。ピーヨロロロの鳴き声と、中央がへこんだ尾羽、翼の白いもようが特徴です。

★トンビが鷹を生む
平凡な親が優れた子を生むことのたとえ。トンビだってタカ科だけど、トンビは平凡なもの、タカは優れたものの例えとなるのだそう。「トンビも居住まいからタカに見える」とは、がさつでも立ち振る舞いによっては上品に見えることのたとえ。残念なトンビなのでした。

◎人の名前になった鳥

◆百合鴎(ユリカモメ)
魚の死体だけでなく、生ごみも食べるというたくましい鳥。海にいるイメージの強いカモメですが、ユリカモメはエサを求めて内陸までやって来ます。夜は海をねぐらとし、朝になると集団で移動。川でぷかぷかと浮かんで、ひなが過ごす姿を目にすることができます。

★森鴎外
軍医、小説家、翻訳家など多方面で才能を発揮しました。人よりも頭が大きかった鴎外は、帽子屋でもっと大きいサイズをと言えず、何軒も回るはめに。やっと見つけた帽子は、以前自分が売り払ったものだった、というなんともご苦労なお話。

◆雲雀(ヒバリ)
木の枝などにとまることはあまりなく、上空でさえずるか地面でさえずるか。草の根元などに穴を掘って巣を作ります。巣に帰る時は一旦離れたところに降りて歩いてもどり、敵が巣に近づくと擬傷を行って注意をそらします。それもこれもヒナを守るため。

★美空ひばり
昭和24年にデビューしてから亡くなるまで、生涯歌い続けました。彼女は歌声が美しいだけでなく、初めて聞くメロディーでもすぐに覚えてしまうほど耳も良かったとか。昭和歌謡の女王がこの世を去ったのは平成元年。52歳。昭和が過去となった半年後のことでした。

ツグミ 庭の餌台にやってくるかも
誰の足跡かな?

◎地名となった鳥

◆大鷹(オオタカ)
タカというと自然豊かな山奥に棲んでいるイメージがありますが、オオタカは東京23区内でも繁殖が確認されています。木の上に巣をつくるため、うっそうとした高い木があるところ、また小動物や鳥などの獲物を狙いやすい見晴らしの良い所に棲息します。

★おおたかの森
千葉県流山市。周辺地域には緑が残り、オオタカの営巣地も確認されています。流山おおたかの森駅は、つくばエクスプレスと東武アーバンパークラインの駅。駅周辺は、大型のショッピングモールや飲食店、マンションなどが立ち並び、現在も発展中。今、大注目のエリアです。

◆鴨(カモ)
マガモやカルガモ、カイツブリなど多くの種類があります。カモの多くは越冬のためにユーラシア大陸などからやって来る渡り鳥です。オスは鮮やかな羽をまとっていますが、これは繁殖のため。日本に渡ってきたばかりの頃は地味で、繁殖期に向けあの美しい姿となります。

★巣鴨
東京都豊島区。地名の由来は、大きな池があって鴨が群れていた、など諸説ありますがはっきりしません。「とげぬき地蔵尊」で知られる高岩寺の洗い観音様は「体の悪い所を洗うと治る」という信仰があります。お願いするときは布で。たわしで洗うと減ってしまうので。

カワウ 飛び立つ川鵜
カワセミ 飛ぶ宝石。翡翠と書く

◎特急の名前になった鳥

◆燕(ツバメ)
春の訪れを感じさせてくれる鳥。泥や枯草をくちばしで運んで、民家の軒下などにお椀状の巣を作ります。低空をすばやく飛んで昆虫など捉えるツバメ。巣作りも子育ても雄雌共同で行います。ここ20年で40%も減ってしまったのだとか。

★特急つばめ
つばめは国鉄の象徴。国鉄の野球団もスワローズを名乗っていて、現在の東京ヤクルトスワローズに引き継がれています。東京ー大阪間を9時間でつないだ特急つばめ。東海道新幹線の開通に伴い新大阪ー博多間の特急となりました。現在は九州新幹線として活躍中です。

◆隼(ハヤブサ)
地球最速の鳥。上空から急降下して飛んでいる鳥を捕らえる速さは、時速390㎞。長く鋭いつめで獲物をしっかりとつかみます。目が前方を向いていて、獲物までの距離を正確に捉えるハンターは見える範囲も広く、農耕地や草原など、開けた場所に棲息しています。

★東北新幹線はやぶさ
ランクラスは、2人と1人掛けで6列=18席しかない贅沢な空間。最高速度は時速320㎞。令和元年からは世界最速の時速360㎞で走るという次世代型新幹線の試験走行を開始したといいます。鳥のハヤブサに近づきつつある新幹線。進化は続く。

 ここで紹介した鳥は、松戸市とその周辺で生息、或いは目撃情報のある鳥たちの一部。ところがその身近な野鳥が、ここ20年で大激減しているのだそうです。原因として考えられるのは、エサとなる
昆虫の減少と野鳥が空中で虫を捕まえやすい広い農地の減少。最近あの鳥を見ないな、なんてことになりませんように。
(ミイ)

カモ メスのマガモ
welcome!鳥

※参考資料/
・「NEO POCKET『鳥』」 小学館
・「新ヤマケイポケットガイド『野鳥』」 山と渓谷社
・「まるごと近所の生き もの」学研
・「明鏡 ことわざ成句使い方辞典」大修館書店
・「文豪どうかしてる逸話集」進士素丸著株式会社KADOKAWA
・「短いようで長かった『平成』ー昭和から何が変わったか」朝日新聞著 朝日新聞社
・流山市HP
・巣鴨地蔵通り商店街 HP
・「角川日本地名大辞典」 角川日本地名大辞典編 纂委員会 角川学芸出版
・「特急列車のすべて」「旅と鉄道」編集部編  天夢人
・「ライフスタイルを変えた名列車たち」原口隆行著交通新聞社
・読売新聞 2021年11月28日号朝刊

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