特集記事

松戸にかかる橋

2022年12月2日 第675号

有名ではないけれど、松戸にはいろいろな橋が架かっています。川を渡るための橋、鳥を観察するための橋、道路を渡るための橋、水が渡る橋…。いつも渡っている橋だけど、見方を変えればちょっとした発見があるかも

◆松戸と東京都を結ぶ橋『葛飾橋』『新葛飾橋』

 松戸の大動脈、国道六号線、水戸街道と呼ばれる道。現在の六号線はバイパスで、新葛飾橋はこの道路が江戸川を渡るために架けられました。往復四車線の大きな橋。車で橋を渡ると、途中でカーナビゲーションが東京都に入ったことを告げます。“新”があるなら、“旧”もある?いえ、あるのは『葛飾橋』と『大葛飾橋』。この中で最も上流にあるのが葛飾橋です。さて、新葛飾橋の上り車線には温度を示す掲示板があります。見つけられるかな?

葛飾橋

◆ユニークな名前の橋『JR貨物橋』

JR貨物橋

 新坂川は、JR常磐線とほぼ平行に流れている川。まっすぐなこの川には、東西を結ぶたくさんの橋が架けられています。その一つがこの橋。馬橋駅と北松戸駅の間にある橋のすぐ横には、JR貨物の巨大な建物が。そのためでしょうか、なんともわかりやすいネーミング。地名でもなく、愛称でもなく、そこにこの会社があるから。ストレートすぎてかえって愛着のわく橋の名前です。

◆文学碑と公園を結ぶ橋『野菊苑歩道橋』

野菊苑歩道橋

 “僕の家といふは、矢切の渡しを東へと渡り、小高い岡の上でやはり矢切村と云っている所…”。矢切を舞台とした、伊藤左千夫の小説『野菊の墓』の文学碑のあるところ。ここと坂道をはさんで対岸の野菊苑を結ぶ橋。野菊苑は、いくつかの石碑や地元功労者の銅像のある静かな公園ですが、なんといっても素晴らしいのはここからの眺め。矢切の畑地の向こうには、東京スカイツリーをはじめとした東京のビル群。富士山も見ることができます。

◆名もない橋『用水路を渡る橋』

用水路に架かる橋

 以前と比べるとだいぶ少なくなってしまいましたが、松戸市の西部、江戸川の流域には田園が広がっています。そこを流れているのが大小の用水路。坂川は昔、逆川と呼ばれるほどの暴れ川で、治水をめぐって各地域で争いが起きたほど。そんな先人たちの苦労の末、今整然と流れる用水路が整備されたのです。橋は、農作業のため、家に入るためなど目的はいろいろ、木を渡したもの、トタンで作ったもの、コンクリート製のものなど素材もいろいろ。

◆渡らない橋『二十一世紀の森と広場』

二十一世紀の森と広場 池に架かる橋

 松戸市きっての大きな公園、二十一世紀の森と広場。森あり小川あり池ありの緑あふれる公園の中に、“向こう岸に渡れない橋”があります。大きな池にかかる橋を行った先には四阿風のスペース。ここは野鳥観察の場所でした。池から突き出た木の柱の先端で、カワウが羽を休めています。これからの季節はハクチョウや数種類のカモたちもやってきます。美しいカワセミが姿を現すことも。森に棲むオオタカに会えるかもしれませんよ。

◆歴史のある橋『春雨橋』

 橋のたもとに石碑があります。そこには、古くから水路があり、橋は水戸石橋と呼ばれていたこと、のちに川の名前を坂川、橋の名前は春雨橋となったことが刻まれています。街道の東側には田畑が広がり、米が豊富だったので、松戸宿では煎餅や餅菓子を売る店が多かったそうです。江戸川に橋が架かっておらず、金町側に関所があったその昔、松戸宿はたいそう栄えたと言われています。その松戸宿は、この橋あたりから下横町渡し場付近まで広がっていました。

◆水が渡る橋『水路橋』

坂川水管橋

 水道橋とか、水管橋とも言います。人や車ではなく、水が通る橋。古代ローマの水道橋は有名ですね。日本にも、圧巻の放水でおなじみの熊本にある通潤橋や、南禅寺境内にあるレンガ造りの琵琶湖疎水がよく知られています。坂川をわたる水管橋を見つけました。その名も『坂川水管橋』。直径700(ミリメートル)、長さ19メートル。千葉県水道局が昭和60年5月にかけた旨、プレートがありました。地味だけど、大事な橋です。

◆文化財の橋『小山樋門』

 松戸駅から市川駅に向かう京成バスの停留所「角町」を降りてすぐのところ。車で走っていると、橋を渡った感覚がないほど短い橋なのですが、実はすごいのです。もともとは江戸川から坂川への逆流防止のために建設された樋門。明治37年(1898)にできたもので、千葉県内に現存する煉瓦造では最古だそうです。現在は樋門としての役割を終え、「レンガ橋」と呼ばれ親しまれています。
2016年に土木学会選奨土木遺産に選定されました。

小山樋門

◆船に乗るための橋『矢切の渡し桟橋』

矢切の渡し 日本の音風景百選石碑

 桟橋とは、船を係留するための橋状のもの。松戸で船といったらここ、矢切の渡し。今や全国的にも有名な渡し舟です。松戸市下矢切と葛飾区柴又を渡す船は昔、対岸に農地を持つ農民が江戸川を渡るための実用的なものでした。船に乗るために桟橋を渡るとき、ちょっとしなる感じもまた風情があるもの。流れがゆるやかな江戸川を、ゆっくりと漕ぎ出でる櫓の音は、環境省が選定した「残したい“日本の音風景100選”」にも選ばれています。

◆電車を跨ぐ橋『跨線橋』

 松戸にはJR常磐線をはじめ、多くの鉄道が通っています。そのほとんどが高架ではなく地面を走行。そこで活躍するのが跨線橋です。字のごとく線路をまたぐ橋。馬橋駅と新松戸駅の間にある跨線橋は、眼下にJR上野東京ラインと常磐線、流鉄流山線を見ることができます。松戸から金町に向かって少し行ったところにある跨線橋。早く通り過ぎる常磐線と、ゆっくりと電車庫の引き込み線を出入りする電車との対比がちょっと面白い。

「bridge」は英語で橋の意。この他に、架け橋という意味もあります。
The internet provides a bridge between you and the world.
(インターネットはあなたと世界の架け橋となる)。
 またbuild bridgeは仲裁する、という意味。渡る橋も、渡らない橋も、bridgeも大事、ですね。  (ミイ)

※参考資料/松戸市観光協会HP

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