2022年12月16日 第676号
朝8時台、船橋駅総武線快速ホーム。土曜なのに通勤・通学客が多い中、リュックを背負い房総特急を待つ記者。向かうは内房線岩井駅。そう、今回は得意の低山シリーズ!久々の房総登山です。「南総里見八犬伝」ゆかりの地、富山(とみさん)へ行ってきました!
特急「新宿さざなみ」号館山行。5両編成って……房総特急も寂しくなりましたね。でも各駅で行くより断然便利(チケットレス特急券の利用がお得!)。船橋駅から約1時間半、岩井駅は特急が停車するのに無人駅で、何とものどか。駅構内の跨線橋からは今回登る富山(とみさん)も見えます。
実は当初、富山近くに位置する「千葉のマッターホルン」伊予ヶ岳の登山を検討していたのですが、アクセスが不便な点と険しい鎖場があり、雨天続きだったこの時期、ちょっと危険かなと回避しました。でも、いつかは登りたい低山です。
【南総里見八犬伝】
滝沢馬琴作「南総里見八犬伝」の物語を知っていますか?実は富山、物語ゆかりの地ということで登る前に知識を得ようと思ったのですが、長編を読むのはシンドイ……。そこで、記者が子どもの頃にヒットした映画を観ました。原作は千葉県南部の安房国を拠点に権力を振るった戦国大名里見氏に関わるストーリーですが、あくまでフィクション。昔から史実と混同する方が多いようです。しかも映画は、かなりファンタジーな作品! まあ、伏姫、八房、八犬士といった主要キャラの成り立ちが分かるので、観て損はないでしょう。
【登山シューズとバーナー】
今回の山登りで、試したいことが2つありました。まずは、新しく購入した登山シューズのパフォーマンスを体感すること。実は今まで、一般的なスポーツシューズで山登りをしていましたが、初めて専用のシューズを買いました。そしてもう1つは、山頂でコーヒーを淹れて飲むこと。そのためにコンパクトバーナー、ケトル、カップを購入!豆をひく?いやいや、まずはインスタントでOK(笑)。
【岩井駅から福満寺へ】
洋風な岩井駅舎内には観光案内所(南房総市富山ウォーキングセンター)があり、富山の登山ルートを確認します。ネットでは2~3ルートの案内が見られますが、近年の自然災害で、通行可能は1ルートのみと分かりました。
岩井駅から登山口の福満寺へは千葉県道258号線を通って徒歩で30分程。福満寺で登山の安全祈願を済ませ、いよいよ登山開始です!
(御朱印は缶箱からいただくスタイルでした/初穂料500円)
【登山スタート!】
正直に告白します。前回、寄居町でラクラク登山を体験した後だけに、当初富山を見くびっていました。いざ登山道を進むと、いきなり階段がめちゃくちゃに壊れているではありませんか!前半こそ舗装路を歩きますが、落ち葉が積もり、乾いた土で滑りやすく、しかも傾斜がキツイ!一合目の地点で既に息が切れて汗だくの記者……。五合目で、ようやくなだらかな道になるのも束の間。その先は、ひたすら急階段を登り続けます。道中、落石、倒木、崩落した場所もあるので、気をつけてください!
【あの方も訪れていた!】
階段状から平坦な道へと変わり、東屋が建つ眺望の良い場所に着きました。そこが八犬士終焉の地です。その先、山頂までは5分も掛かりません。
木製の展望台がある開けた場所が今回のゴール地点(北峰349m)で、曇り空でも対岸の浦賀半島、伊豆大島まで見渡せるまさに絶景スポット!「老朽化により5人以上で乗らないで」と多少怖い展望台からの眺めも最高です。展望台の側には石碑があり、見てみると……、何とビックリ!平成の時代に天皇陛下も富山を訪れていたのですね。
【山頂でのコーヒーは格別!】
眺望を楽しんだ後は、ミッションに取り掛かります!道具をリュックからあたふた取り出し、まずはバーナーを組み立てガス缶を装着し、いざ着火!あれ?火が着かず……、壊れたのかと焦りましたが、そう、山頂では風の影響でなかなか着火しないのです。ガスの出力を上げて再度試みると、着火しました!数分後、ケトルの注ぎ口から湯気が立ち、そっと蓋を開けて中を覗くとボコボコ煮立っています。ケトルを手に取り、湯をカップに注げば出来上がり♪絶景を眺めてアツアツコーヒーを飲むって、最高!リュックが重くなりますが、今後の山登りには欠かせないアイテムになりそうです。
【伏姫籠穴】
次に向かうのは伏姫籠穴。富山の麓に位置する伏姫が八房という犬と暮らした洞穴です。山頂からアクセスできる登山ルートが現在、不通なため遠回りをするしかありません。福満寺まで戻り、県道258号線を岩井駅方面へ歩いて行くと、数分で「伏姫籠穴」の大きな案内板に辿り着きます。
脇道に入り、富山中学校手前のY字路を右へ。すると「間違っていないかな?」と不安に駆られるほど人気のない悪路を歩き続けますが、突如開ける場所に出ます。立派な門には「伏姫籠穴」の標示。門を潜りそこそこ長い階段を登った先には、「えっ、この洞穴で暮らしていたの?」と目的地に到着してビックリ!まあ、フィクションですからね(笑)。でも森の中、とても神秘的な場所ですよ。
【さんが焼きを食べよう!】
岩井駅へ向かう県道は、駅に近づくに連れて道幅が狭い割に車の往来が結構あるので歩く際には注意してください。そして、踏切側にある飲食店。実は、来る前からリサーチしていました!お目当ては南房総の漁師料理「さんが焼き」。まずは千葉県産のクラフトビールで喉を潤し、贅沢にも2千円近いランチ「伏姫定食」を注文。さんが焼き、なめろう、つみれ汁と、海の幸がいっぱいの幸せランチです♪そして地酒……は我慢しました(笑)。
【岩井海岸】
食後、帰りの電車の時刻を確認すると、かなり時間に余裕あり。ならばと岩井海岸へ寄り道することに。陽が傾き始めた午後3時台、秋の海が何とも美しいじゃありませんか!その後、岩井駅に戻り、駅ホームでぼお~っと過ごす中、踏切の警報音が耳を突き、ようやく2両編成の電車がやって来ました。案の定、座席は埋まっていましたが、夕暮れ時、海沿いを走る内房線の素晴らしい車窓を眺めていたら、立ちっぱなしも苦にならずでしたね。 (パイン)
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