秀海講(松戸市松戸・松戸市小山)
2023年9月8号 第693号
弘法大師(こうぼうだいし)こと空海(くうかい)は、平安時代初期の高僧です。「四国遍路」いわゆる「お遍路さん」は、四国にある空海ゆかりの霊跡を巡り歩く習俗として知られます。こうした巡礼は、江戸時代に庶民の間で流行りました。
四国八十八ヶ所は、なかでも人気の巡礼でしたが、遠路でもあり容易ではありませんでした。そこで、もっと身近で気軽に巡礼できるようにと開講されたのが「秀海講」です。
松戸でも秀海講巡礼塔が建てられ、馬橋や栄町の路傍を北限とし、西は上矢切宝蔵院、南は下矢切西蓮寺、そして市川国分を経た東の大橋までの範囲で巡礼を行えるようになりました。今も残る市内の秀海講を巡ると、二十三地点、計三十五基を訪れる約二十キロの巡礼となります。
小山浅間神社前の浅間緑地には、巡礼塔が三基あります。左から七九番、一四番、三九番の秀海講です。
千葉大学園芸学部旧正門をくぐってすぐ先の左側の脇道を登ると、二七番と二一番の秀海講に出会えます。いずれも状態が良く、一見の価値があります。
特に二七札番は、市内の秀海講のなかでも、造りも材質も共に優れており、弁栄(べんねい)上人の描いた弘法大師坐像の線刻画も目にできます。
他の場所にも秀海講は現存しますが、移動や風化などによる損傷の目立つものが少なくありません。 (かつ)
※参考図書/「松戸史談」
◎所在地/秀海講 第27・21番 松戸市松戸1584ー1
秀海講 第79・14・39番 松戸市小山664ー4 浅間緑地
◎所在地/秀海講 第27・21番 松戸市松戸1584ー1
秀海講 第79・14・39番 松戸市小山664ー4 浅間緑地
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