2026年8月7日 第763号
暗渠、外界から閉ざされた世界。
暗渠、それは私たちの足元を流れる川。
暗渠、それは未知なる世界…
●暗渠って何?
「あんきょ」と読みます。地下を流れる水路や川のことで、松戸市で管理している河川のうち、暗渠化されているのは総延長で約23・5キロメートルもあるそうです。ではどうして暗渠になったのでしょうか。暗渠化されている流れは、もともと自然の川や農業用の水路で、主に市街地化が進むことによってその流れが見えなくなりました。道路や宅地の整備に伴って、安全性を考慮し適宜暗渠化していったそうです。松戸市は首都東京の隣接地としてベッドタウンとなったことが関係しているのでしょう。畑地や水田が宅地化して、たくさんあった用水路が統合し、一部は暗渠化された。そうすることで、土地を有効活用できたり、誤って水路に転落する事故をなくすことができたりするのです。
●暗渠を行く1(二十一世紀の森と広場~馬橋)

松戸には江戸川、坂川といった大きな川の他にも、小さな川や水路がいくつも流れています。そんな松戸の真ん中、二十一世紀の森と広場。山あり谷あり広場あり。斜面林から湧水がいくつも見られるそうです。多様な植物、鳥や昆虫が棲息する自然豊かな公園の中に大きな池があります。千駄堀池と呼ばれる池。この池を見渡すことができる桟橋のようなところの下、ごうごうと音を立てて水が下の方に流れているようです。公園の西駐車場とスポーツ公園には水路は見受けられないのに、武蔵野線の高架下に開渠を発見。どうやらここまで暗渠のようです。「水路用地」と書かれた立て看板あたりでは、美しい花が咲いていたり、野菜が生っていたり。その脇には水路が顔を出す開渠が続いています。


ところが八ヶ崎消防署あたりまで来ると、見えていた水路にふたが。水が見えなくても、くねくね曲がる様子は、ここが確かに水路であることを示しています。ここから開渠・暗渠を繰り返しながらたどり着いたのは、「歩行者専用」と書かれた置き標示。そこはコンクリート製のふたが連なった歩道で、明らかにその下には水路があることを物語っています。暗渠はいよいよ松戸の大動脈、国道六号線にさしかかります。暗渠のまま流れるのかと思いきや、ここでちょこっと顔を出す水路。さわさわと流れに任せて一気に国道の下を通過。流れは暗渠化された他の水路と合流しつつ、しばらく開渠を流れます。小さな石橋を見つけました。馬橋。「馬橋」の名はこの橋からつけられたとのことで、なんと室町時代からその地名があったのだそうです。流れは再び開渠と暗渠を繰り返し、常磐線を横断。たどり着いたのは、新坂川です。新坂川8号橋のふもとで、その流れを新坂川に吐き出し、暗渠の旅は終えるのでした。



●暗渠を行く2(三矢小台~国分川)

上矢切のバス停の程近く。閑静な住宅地の中ですが、ここが源流?昔は流れがあったようですが、現在はただ空の水路があるだけです。外環道路の関係でしょうか、水が枯れてしまったのでしょうか。とにかくここからたどってみましょう。ところが、どこにも水路らしきものは見当たりません。その姿を再び確認できたのは、矢切小学校の東側。切り立った谷のようなところに水路を発見。暗渠と開渠を繰り返し、矢切の谷を流れます。矢切。一説によればその地名から「谷切れ」と呼ばれたこともあったそう。水路は県道の西側を道と並行に走り、ちょうど北総線の矢切駅あたりで県道を横断します。ここに駅ができる前は、現在の駐輪場辺りが開渠になっており、水の流れる音がごうごうと聞こえていました。その水が流れ込むのが、じゅんさい池。南北に長いこの池を取り囲むように一帯は公園となっており、季節ごとに咲かせる花々、鳥のさえずり、水面に吹く風が心地よく、人々の憩いの場となっています。水の流れはここから再び水路への旅に。しかし水の流れを見ることはできません。暗渠となっているのです。公園の南側道路を横断すると下に降りる階段があり、その先は細い道。自然の川のようにゆるやかなカーブを描く小道をしばらくたどっていくと、車道と歩道がはっきり分かれている道につながっています。歩道にはコンクリートのふた。水はこの下を流れ、平川用水路跡と呼ばれる場所を通過。国分1丁目の交差点あたりで外環道を横断し、流れ着いた先には小さな水門。これをくぐって国分川へ合流します。松戸から市川にかけての水の旅はここでおしまい。



暗渠は宅地化や土地の有効活用、また安全性の意味からも欠かすことができません。一方、普段目にすることができないため、管理の面で特に留意しなければならないこともあります。雨水は水田や畑にはたまらず、直接、短時間で暗渠化した水路に流れ込みます。近年、ゲリラ豪雨が多発し、地下を流れる水路に排水能力を超える水量が流れ込み、新たな水害が起こるニュースを目にします。松戸市内の暗渠については、そのようなことがないよう点検や整備、清掃、また補修や改修を適宜行っているということです。
今はもう見えなくなってしまったけど、昔、そこにあった川や水路に思いをはせてみてはいかがですか? (ミイ)
◎取材協力/松戸市河川清流課
※参考文献/千葉凸凹地図昭文社 千葉スリバチの達人昭文社 市川市史自然編

















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