弥都波能売神-みつはのめのかみ-(流山市流山 流山浅間神社)
2026年8月7号 第763号

流山市の浅間神社は、木花開耶姫命(このはなさくやひめ)を主祭神に祀ります。境内には県内でも有数の富士塚があり、江戸時代に盛んだった富士講の信仰を今に伝えています。
本殿の脇には、弥都波能売神(みつはのめのかみ)と刻まれた石碑があります。弥都波能売神は『古事記』に登場する水の神で、火の神・迦具土神(かぐつち)誕生の際、母の伊邪那美命(いざなみ)が火傷を負い、そのときに流れ出た体液や尿から生まれたとされています。貴船大神や龍神など多くの水神と重ねて祀られることが多く、その名が前面に出ることはあまりありません。
木花開耶姫命は「火」を象徴する神格で、弥都波能売神は「水」を象徴します。日本神話では両者は対立するものではなく、火山が雪を抱き、その雪が水となって田畑を潤すように、循環する自然の力として描かれます。これは富士山信仰の世界観ともよく調和しています。
本殿脇に独立した祀りの場として石碑が置かれていることから、地域の人々が弥都波能売神を大切にしてきた思いが伝わります。千葉県内でもこの神名を正面に大きく刻んだ石碑は多くはなく、貴重な存在といえます。 (かつ)
※参考図書/「日本古典文学大系1 古事記」「図解日本神話」
◎所在地/流山市流山1丁目153

















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