2026年8月21日 第764号
気づけば、「今年も8月だよな~」と月日が過ぎる早さを実感する人は多いはず。そんな中、記者は「今年は午年、まてよ?『馬』の漢字がつく駅名は、どのくらいあるんだろう?」と、ふと考えてしまいました(笑)。今回は、そんな些細な思いつきから企画した鉄道旅を紹介します。
【馬の漢字がつく駅の数と馬橋駅】
調べると「午」の漢字がつく駅名はナシ。しかし「馬」の文字が入る駅は、全国に56駅もあるのだとか。駅名に使われている動物の名でも最多で、考えてみれば「駅」の漢字にも馬が入っています。昔は、いかに馬が大事な交通手段だったのか思い知らされますよね。数がわかったところで「では全駅、行ってみるか!」は酷。なので、今回は千葉県内の5駅に絞りました。おっ、さっそく松戸市内に1駅あります。ご存じ、「馬橋駅」。常磐線の駅として明治31年に開業し、大正5年には流鉄の駅も開業しています。駅東口は旧水戸街道に近く、再開発の手が入っていない昔ながらの狭い街並みが、どこか昭和の面影と歴史を感じさせ、ノスタルジックで味わい深い雰囲気を漂わせています。


【房総にある2つの馬駅を訪れる!】
鉄道を利用して木更津を訪れたのは久しぶり。令和2年に一面で木更津の街をめぐる旅を載せましたっけ。そこから久留里線に乗るとなると、平成14年以来かもしれません。首都圏ではすっかり珍しくなった非電化のローカル線です。比較的新しい気動車とはいえ、停車中の車内でもエンジン音はそこそこうるさく、乗務員のアナウンスも少し聞き取りづらいほど。久留里線といえば最近、久留里~上総亀山間が廃止されるニュースで話題になりましたよね。災害路線以外ではJR東日本で初めてのこと。そのためか、車内にはカメラを手にそわそわする鉄道ファンも多く見られました。出発すると轟音を立てて加速しますが、そんなにスピードは出しません。しばらくは国道と並走する区間が続き、速度は車とほぼ同じ。継ぎ目の少ないロングレールではないのでしょう、車両はまあまあ揺れます。でも、そんなローカル感がたまらないんですよね。そうそう久留里線に乗る前に注意事項が2点あります。木更津駅に着く前に内房線内でも案内が流れますが、久留里線内は現時点で交通系IC決済未対応。記者は木更津駅の改札で、事前に精算を済ませました。下車時の乗務員(運転士)による精算対応は時間がかかり運行の妨げになるため、事前に済ませるのがよいでしょう。そして食料は、木更津駅構内のコンビニで必ず買うことをお勧めします。
【ブルーベリーの馬来田駅】
数駅過ぎると車窓はのどかな田園風景に変わります。そして木更津駅を出て30分ほどで、馬がつく2つ目の駅「馬来田」に到着しました。馬橋駅と同じ「ま」で「まくた」と読みます。大正元年に開業した馬来田駅は終日無人ですが、木造のレトロな駅舎が今も大切に使われており、どこかホッとするような昔懐かしい佇まいです。そんな中、ふとホームの端に目をやると、草木に小さな実が。よく見てみると、なんとブルーベリーではありませんか!駅近隣にもブルーベリー農園や直売所がいくつか見られ、もしかして、この辺りは栽培が盛んなのでしょうか?さて、駅前にある自販機でペットボトルの水を1本追加購入。計2本・1リットルの水を確保し、3つ目の駅までは徒歩で移動します。スマホアプリの地図だと約11㎞・所要時間は2時間40分ほど。まさかこれが灼熱の行軍になるとは思いもよりませんでした。


【過酷な徒歩移動】

まず馬来田駅前の県道を東へ進みます。コンビニや商店は見当たりませんが、交通量は比較的多い。しばらく歩いていると、突如の雨!夏の変わりやすい天候で、まさかの足止めです。しばらくして小雨になったので、再び歩き始めました。その後、県道から脇道に入りますが、その前に必ず飲料を確保しましょう。その先は、約7㎞先まで自販機がありません。脇道を進むと民家はなくなり、うっそうとした森の中へと足を踏み入れました。舗装路ではあるものの、ゆるい傾斜にじわじわと体力を奪われていきます。厚い雲が日差しを遮ってくれているのがせめてもの救いでしたが、それでも蒸し暑い。やがて、久々に交通量が多い国道に出ました。ここまですれ違ったのは車1台とキョン1匹。国道に出ても沿道は寂し気で、歩道がないから歩くのが怖い!そして再び脇道に入ります。
【道中の奇跡】
沿道に民家は見られますが、自販機はありません。手持ちの水があとわずかと焦っていたところ、運送会社の出入り口に自販機を2台発見!日頃どこにでもあると思っていた自販機の存在が、このときほど嬉しく思えたことはありません。とりあえず麦茶を1本追加し、再び歩き始めます。足を引きずりながら3つ目の駅を目指していると、不意に遠くから踏切の音が耳に届きました。ようやく駅が近いことを悟り、安堵のため息が漏れます。そして、ついに3つ目の「馬立」駅が見えました。はじめて「うま」と読む小湊鉄道の駅に到着です。国の登録有形文化財である駅舎は、大正14年の開業。それにしても駅構内はノスタルジックで、素人がどこを撮影しても絵になりますね。やがてやってきたのは、国鉄時代を彷彿とさせる古い気動車1両。車内は満員で、発車後、車内検札があるとは思いませんでした。めちゃくちゃ揺れるので、カバンから切符を取り出すのにも一苦労です。冷房化されているのになぜか窓は全開でしたが、天井で回る扇風機と窓から吹き込む風のおかげで、走行中は思いのほか涼しく過ごせました。


【船橋競馬場駅へ】
五井駅に着いたのは17時前、残る2駅へ急ぎます。内房線で千葉駅へ向かい、総武線各駅停車に乗り換えて幕張本郷駅で下車。さらに京成千葉線に乗り、京成津田沼駅で本線に乗り換えて、2駅先の「船橋競馬場」駅に到着しました。ここは競馬の「ば」読み。5つの馬駅の中では開業が最も新しい昭和2年、といっても戦前ですね。いっときは巨大レジャー施設に合わせて、「センター競馬場前」駅と称していました。しかもレジャー施設が閉鎖した後も、10年間は改称されなかったのだとか。なお、京成津田沼駅で乗り換える際、快速特急・特急・通勤特急は同駅を通過しますのでご注意ください。


【最後の駅、馬込沢】
船橋競馬場駅から京成上野駅方面の列車に乗って、京成船橋駅で下車します。県下第2の人口を誇る船橋市街地にある駅とあって、かなり混雑していますね。少し離れたJR・東武線の船橋駅との乗り換えは、通路一本で繋がっていて意外に楽。東武アーバンパークラインに乗り換えますが、急行ではなく必ず普通列車に乗ってください。そして旅のラスト、「馬込沢」駅に着きました。またもや「ま」読みです。これで千葉県内にある5つの『馬』駅を完全制覇。些細な思いつきから始まった今回の鉄道旅ですが、昭和の面影を残すローカル線の風情、そして思わぬ過酷な徒歩移動と、思い出深く充実した一日となりました。皆さんも、ちょっとしたひらめきをきっかけに、ふらりとテーマを決めた鉄道旅に出かけてみてはいかがでしょうか。(パイン)



















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