小僧弁天(松戸市古ヶ崎)
2020年11月6日号 第625号
古ヶ崎の坂川の川辺にひっそりと佇む、小さなお宮「小僧弁天」。古ヶ崎五差路に近く、松戸駅や外環道へのアクセスで一日中交通量の多いバス通りと坂川に狭さまれたこの地には、義真坊という小僧の伝説がありました。『房総むかしばなし その1』(千葉綜合社出版)から要約してご紹介します。
~江戸中期の享保のころ、馬橋の萬満寺に6つになる子が弟子入りした。とても利口な小坊主は和尚に可愛がられたが、たいそうなわんぱく者だったため、寺男らは本気になって小坊主に腹を立てていた。ある日、小坊主は、和尚の言いつけをうっかり忘れて寝てしまった。それを見た和尚が「用を忘れる者は、米俵にでもつめて、いっそ川へ漬けてやれば少しは懲りるだろう」と冗談を言った。ところが、これを耳にした寺男が本気にして、寝ている小坊主を米俵につめて、川へ投げ込んでしまった。あわれ、小坊主はすっかり氷って、明くる朝、古ヶ崎に流れ着いた。土地の人たちは、どこの誰とも分からない小さい命を憐れんで、小さいお宮をつくり祀った。悪い寺男は、高熱が出て死んでしまった。これ以来、和尚は「冗談でも人の生き死にのことを言うもんじゃない」と、お経をあげる時以外はぷっつりとものを言わなくなったという。~
小僧弁天と萬満寺とは3・5㎞ほどの距離。萬満寺にも小僧の霊を祀る祠が建てられています。
(あお)
※所在地/松戸市古ヶ崎941
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