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花火に想いを寄せて

2020年7月24日 第618号

夏の風物詩といえば花火と答える方は多いでしょう。ただ今年はいつもと違う夏がやってきています。この時世で花火大会は中止ではありますが、6月の夜空に上がった花火をご覧になった方はいらっしゃいますか?

  読者の皆さんは、日本中の花火師たちが結集して6月1日に行われた「Cheer up! 花火プロジェクト」での花火を見ることができたでしょうか。各種メディアでも取り上げられたので、ご存知の方は多いと思います。
 6月1日20時。密にならないように日時の事前公表はせずに、163社の花火師たちが全国一斉に5分間、花火を打ち上げたこのプロジェクト。実は松戸市のお隣、柏市にある高城煙火店も参加していたのです。
 高城煙火店は明治時代後半から100年続く花火業者です。手賀沼花火大会、とりで利根川大花火、利根町民納涼花火大会にも携わり、祭礼や地域のお祭り、学園祭などの各種イベント用花火も製造。現在は4代目・5代目を含む6名の職人がいます。4代目は、競技会の伊勢神宮奉納全国花火大会の打ち上げ花火の部「佳作」他、いくつかの賞を受賞している花火師なのです。

光の筋が何色にも。これは火薬玉(星)が層になっているため

●プロジェクト参加へ

5月のゴールデンウィークが明けたころ、日本煙火協会の青年部から第一報が入ったといいます。「新型コロナウイルス感染拡大で自粛を余儀なくされたいま、我々花火業者にできることはないか」。花火大会のルーツといわれる両国川開き花火(現・隅田川花火大会)は悪疫退散を祈願して行われたといわれている、なにより花火を見上げる人々からは笑顔が生まれる、今まで鎮魂を願う花火や復興を願う花火も打ち上げられてきたということで、このプロジェクトが進行していきました。
 高城煙火店の場合は、知り合いから田んぼを貸してもらえることになり、その場所は半径1キロメートルに民家を含めた建物がなく、告知なしの花火をいきなり打ち上げるには好立地でした。「少し離れた地域からも花火に気付いてもらいたい。わずかな時間だけど、夜空を見上げてゆったりとした気持ちで花火を楽しんでもらい、自粛生活の中で少しでも気分転換になってほしい」と考えたそうです。
 全国の花火業者は、SNSやリモートで情報を共有し合いました。準備を進めていく中で、都道府県によっては打ち上げ場所の決定に難航する業者があったり、ペットを飼われている方や音に敏感な方への懸念から打ち上げ情報を事前に公開せざるを得ない状況があったりしたといいます。
 「内緒で動いているつもりでも、やはりどこからか情報は漏れるんでしょうね。うちには、新聞社の方から写真を撮りたいので打ち上げ場所を教えてくださいという連絡がきましたし、知り合いからも連絡が来ましたよ。せっかく上げるのだからたくさんの方に見てほしい気持ちはありますが、日時や場所を教えてしまうとそれこそ密になってしまうので、新聞社の方にも一切お伝えしませんでした」。
 それでも手賀沼花火大会に来られていた方の中には、高城煙火店がいつもどこで打ち上げているのかをご存知の方もいらして、その近くで打ち上げを待つ姿があったそうです。
 そして、その時が来、5分の空の彩り。後日「柏の葉のマンションからしっかり見えたよ」「利根町(茨城県)でも見れたよ」という連絡が入ったそうです。
「参加してよかったですし、改めて、花火っていいなと思いました」とは、5代目の言葉です。
 やはり、花火って心を踊らせてくれるものでもあるし、心をゆったりと落ち着かせてくれるものでもあるということは否めないですよね。リアルタイムで見ることができた方も、テレビや新聞などのメディアで知った方も、緊急事態宣言が解除されてすぐではあるものの閉塞感が拭いきれないでいた時のこの花火。ましてやその宣言真っ只中にあれこれ動いてくれた花火師の想い・心意気で上がったこの花火は、特別であり格別でした。

●今夏の花火はまだ続く!

実は、今年の夏の花火はまだ終わらないのです。秋田県大曲の「日本の花火を愛する会」が立ち上げた『日本の花火「エール」プロジェクト』は、現在クラウドファンディングで支援を募っています。日本の花火そして日本の花火師たちの技術を守りたいということで、プロジェクトが進行しています。
 こちらも3密を防ぐため日時は公表予定がありませんが、全国一斉で花火が打ち上げられます。そして、高城煙火店も参加します。はたして7月中なのか、8月の打ち上げになるのか。楽しみにその時を待ちたいですね。 (みじゅ)

■花火ができるまで

 煙火店の大仕事はやはり花火大会です。その日に向けて、1年を通して着々と準備されていきます。

①火薬の配合

ざっと数えても10色はある色。酸化銅などの炎色反応や様々な金属粉によって光りますが、同じ青でも濃淡を出すため火薬の配合を変えて、微妙な色を出します。

星の断面。写真は直径2cmある

②星掛け

 星とは火薬玉のこと。
回転釜の中で芯となる菜種に火薬をまぶしていきます。1種類付けるごとに天日干ししていきます。

「金平糖を作るイメージかな」。星の色や大きさは多種

③玉詰め

玉皮という半円の型に星や割薬をしきつめていきます。これを2つ作ったら、火薬が零れないようにパッと合わせます。

集中を要する玉詰めの作業

④玉張り

③にクラフト紙を巻き付けて乾燥させます。

⑤墨入れ

④に花火の色や形・変化によって玉名が記されます。仕上がるまでに尺玉(一尺は10号)で約1ヵ月半かかります。

玉名からどのような花火か想像できる

〈高城煙火店〉

 打ち上げ花火や水中・地上花火、仕掛け花火、ナイアガラなどの花火に対応しています。お祭りや学園祭などイベント時の花火打ち上げも行っています。

千葉県柏市箕輪312
TEL04-7191-3376

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